
妊娠中期はつわりが落ち着き、胎盤が完成することで体調が安定しやすいため一般的に安定期とも言われます。
おなかの赤ちゃんの内臓や体の細かいパーツができ、胎動を感じたり性別がわかるようになったりと、より身近に感じられるようになるでしょう。
妊娠期間中では母子ともに比較的安定した時期ですが、おなかの張りを感じることもありますので、いつでもすぐに休める環境を作っておくことが大切です。
今回は妊娠中期について胎児と妊婦さんの変化についてご紹介しています。
妊娠中期とは

妊娠中期とは妊娠5ヶ月から妊娠7ヶ月の期間のことをいい、つわりが落ち着いて妊娠期間の中では最も体調が安定しやすい一方で、おなかが膨らんできて妊婦さん独特のマイナートラブルが起こりやすくなる時期でもあります。
妊娠5ヶ月になると胎盤が完成し心身ともに安定しやすくなるため一般的に「安定期」とも呼ばれ、流産のリスクも少なくなります。
胎盤はまだ生きていくために必要な臓器が未完成である胎児にかわって、酸素や栄養を届けたり老廃物を受け取ったり、細菌やウイルスなどがママの血液を介して赤ちゃんにまで届かないようフィルターとしての役目などさまざまな機能を担っています。
おなかの赤ちゃんは脳や神経が発達してきて手足を自分の意思で動かせるようになるため、胎動を感じるようになります。
妊娠5ヶ月

妊娠5ヶ月になるとつわりが治まり食欲がアップするため急激な体重増加には要注意ですが、その一方で赤ちゃんが成長するために積極的に摂りたい栄養素もあるため、体重管理とバランスの良い食事を心がけましょう。
ママの身体は赤ちゃんを育てるために皮下脂肪がつきやすくなるほか、ホルモンの影響で主に下半身がむくみやすくなります。
赤ちゃんの成長とともにおなかも大きくなり始めるため、妊娠線のケアは早めに始めておきたいですね。
早い人は胎動を感じられるようになるほか、赤ちゃんの性別も分かるようになってきます。
妊娠16週
妊娠16週になると多くの人はつわりが落ち着いてきます。
高かった基礎体温が元に戻り、これまで感じていた熱っぽさやだるさがなくなり気分も安定しやすくなります。
おなかの赤ちゃんは手足のほか脳や内臓、骨や筋肉など各器官が未熟ではありますがほとんど完成して体つきもしっかりしてきます。
全身には「胎毛」と呼ばれる毛が生えてきて、顔立ちもなんとなく分かるようになってきます。
外性器ができてくるため、男の子なら分かるかもしれません。
出生前診断の一つである「羊水検査」を受ける場合は、妊娠15週~妊娠18週頃までに行なうことが一般的です。
羊水検査とは胎児にダウン症などの染色体異常がないかその有無を診断する検査のことです。
妊娠17週
妊娠17週ごろになると赤ちゃんの成長に合わせてママの血液量も増えますが、赤血球は急には増えないため相対的な貧血になりやすくなります。
鉄分の多い緑黄色野菜とともに、吸収を促すビタミンCやタンパク質も一緒に摂るようにしましょう。
おなかの赤ちゃんは指などの細かいパーツができるほか、爪も生えてきます。
妊娠18週
妊娠18週ごろになると赤ちゃんの脳が発達し手足も器用に動かせるようになるため多くのママが胎動を感じ始めます。
おなかの赤ちゃんには髪の毛が生え始めるほか、まつ毛や眉毛も生えてくるためより顔立ちがはっきりしてきます。
超音波検査で男女の性別がはっきりしてくる頃で、赤ちゃんの姿勢によっては女の子の場合も判別できるようになります。
妊娠19週
妊娠19週ごろになるとママのおなかはだいぶ目立つようになり、動きづらく感じてくるかもしれません。
腰痛のほか便秘や痔にも悩まされやすくなります。
おなかの赤ちゃんは皮下脂肪がついてふっくらとしてきます。
妊娠6ヶ月

妊娠6ヶ月になると胎動をはっきりと感じるようになります。
おなかがどんどん大きくなってくることで、腰痛や便秘、むくみなどさまざまなマイナートラブルに悩まされがちです。
おなかの赤ちゃんは肺以外の体の重要な器官はほぼ完成し、見た目もほとんど新生児と変わらない程度にまで成長しています。
妊娠20週
妊娠20週になると赤ちゃんの骨や筋肉がしっかりしてくるため、多くのママははっきりと胎動を感じるようになります。
ポコポコとおなかを蹴られると赤ちゃんの存在を身近に感じられて一層愛おしくなりますね!
おなかの赤ちゃんは呼吸器が整ってきて羊水を飲んで吐き出す「呼吸様運動」をするようになり、産まれてから呼吸するための練習を始めます。
妊娠21週
妊娠21週になるとママのおなかはさらに大きくなり心臓や肺が圧迫されて息切れや動悸が起こりやすくなります。
疲れたら少し座って休むなど無理をしないようにしましょう。
おなかの赤ちゃんは指を動かせるくらい骨格がしっかりとしてきます。
妊娠21週6日までにおなかの赤ちゃんが亡くなってしまうことを流産といい、これより早い時期では赤ちゃんの身体が未熟すぎてママのおなかの外では生きていけないとされています。
流産の8割以上は妊娠12週未満の妊娠初期におこっており、妊娠21週ともなると自然流産のリスクはぐんと低くなっています。
妊娠22週
妊娠22週になると足がつったりむくんだりしやすくなり、下半身の静脈にこぶのようなものができることもあります。
身体が重くなり動くのも大変ですが、体調がよければヨガやマタニティビクスなどで身体を動かせるとこういった不快症状の解消にもつながりおすすめです。
おなかの赤ちゃんは肺以外の臓器はほぼ完成に近づき、上下のまぶたが整って顔立ちもよりはっきりとしてきます。
妊娠22週0日~妊娠36週6日までに生まれることを早産といい、全妊娠の約5%におこっています。
妊娠22週で生まれた赤ちゃんは体重が500g程度しかなく外界で生きていくには体の各器官が未熟なため、長期に渡る新生児集中治療室での治療が必要となるだけでなく、早く生まれた赤ちゃんほど脳性麻痺など重篤な障害が残る可能性が高くなります。
妊娠23週
妊娠23週になると子宮の大きさは大人の頭以上のサイズになっており、ママのおなかは前にせり出て足元が見えにくいうえに重心が変化するため転倒には要注意です。
反り腰になりやすいため腰や背中の痛みを感じる人が多くなります。
おなかの赤ちゃんは聴覚が発達し周囲の音が聞こえるようになりますので、話しかけてみるのもいいですね。
妊娠7ヶ月

妊娠7ヶ月になるとぐんぐん成長する赤ちゃんに合わせてママのおなかもより大きくなります。
日々の赤ちゃんの成長が早い時期のため、これまで4週間に1回だった妊婦健診が2週間に1回になります。
むくみや腰痛、貧血などの症状が重くなりやすいため、こまめに休息をとったり栄養バランスに気をつけるなど、引き続き対策をしましょう。
おなかの赤ちゃんは視覚や聴覚など五感が発達し、外の音に反応したりママとパパの声を聞き分けたりできるようになります。
妊娠24週
妊娠24週になるとますます大きくなった子宮に胃や腸などが圧迫されて、便秘や痔や胃もたれがおこりやすくなります。
おなかの赤ちゃんは鼻の穴が通って、眼球が動いたりまばたきができるようになるため超音波画像では可愛らしい表情が見られるかもしれません。
妊娠25週
妊娠25週になるとおなかの張りを感じることが増えるため、おなかが張ったら無理をせずこまめに休憩をするようにしましょう。
おなかの赤ちゃんは活発に動くようになり羊水の中をくるくると泳ぎ回るため妊婦健診で逆子だといわれることもありますが、逆子のほとんどは出産までに自然になおりますのでこのタイミングで心配する必要はありません。
妊娠26週
妊娠26週ごろになると、気がつくとおなかや太ももなどに妊娠線が出来ているかもしれません。
そのほか胸や二の腕、おしりなど脂肪がつきやすい場所は妊娠線もできやすいため注意が必要です。
お風呂上りは全身に保湿クリームを塗るなどケアをしっかりしておきたいですね。
おなかの赤ちゃんは脳が発達し自分の意思で動けるようになり、体の向きを変えたり手足を動かしたり、指しゃぶりをしたりとどんどん新生児に近づいていきます。
妊娠27週
妊娠27週になるとますます活発になる胎動で夜寝付けないという人もいます。
引き続きむくみやすく、特に足がパンパンにむくんでつらいと訴える人が増えます。
おなかの赤ちゃんは味覚や聴覚、視覚が発達し外の音を聞き分けたり光を感じたりできるようになります。
妊娠中期におなかの張りを感じたら
妊娠中期におなかの張りを感じたらどうしたらいいのでしょうか?
普段はやわらかい子宮の筋肉ですが、活動したりちょっとした刺激などによって筋肉が収縮してかたくなることがあり、これをおなかの張りと呼んでいます。
妊娠中期のおなかの張りは生理的なものが多くほとんどの場合は心配いりません。
おなかの張りを感じたら横になったり、外出先なら座って少し休憩することで治まるケースがほとんどです。
また長時間座っていることで血流が悪くなりおなかが張る場合もありますので、デスクワークの方は定期的にトイレへ行ったり少しオフィス内を歩くなどして長時間同じ姿勢を取らないよう工夫してみましょう。
もし休んでもおなかの張りが治まらなかったり痛みが強くなるような場合は切迫流産や切迫早産、そのほかの病気が潜んでいる可能性もありますので、受診するようにしましょう。
おなかの張りの感じ方は人それぞれで、危険なおなかの張りなのか?心配ない張りなのか?は判断が難しいところです。
いつもと違うな?と感じたら、まずは電話でも良いので心配なことは担当医にご相談くださいね。
妊娠中期=安定期?
安定期とは妊娠5ヶ月ごろに胎盤が完成しつわりが落ち着いて、妊娠期間中では母子ともに最も安定しやすい時期のことをいいますが、医学用語ではないためきちんとした定義はなく病院でもあまり使われません。
安定期という言葉の響きから「安全な時期」と思ってしまいがちですが、妊娠中に完全に安心できる時期というものはなく、常に「今おなかの赤ちゃんや自分の体調に変化があったらどうすればいいのか。。。?」を念頭に置いて行動する必要があります。
出産前に二人で旅行へ。。。というのも素敵ですが、もしものことを考えて母子の健康最優先でお過ごしくださいね。
まとめ

妊娠中期は比較的体調が安定しているため、出産入院の準備やベビーグッズの用意などをしておけるといいですね。
また、妊娠中はホルモン分泌量の変化によって虫歯や歯周病などのトラブルがおこりやすくなりますので、ケアをしっかりするとともに歯の治療は妊娠中期の間に済ませておきましょう。
体調を最優先しつつも、今しかないマタニティライフを楽しんでお過ごしくださいね。