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化学流産とは?症状と原因について

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author:DNAサイエンス
化学流産した夫婦のイメージ

妊娠検査薬は精度が高いため、陽性反応なら妊娠している可能性が非常に高いといえますが、一方で「妊娠検査薬が陽性だったのにその後生理がきた」という方が時々いらっしゃいます。

これは化学流産が原因の一つとして考えられますが、なぜこのようなことが起こるのでしょうか?

今回は化学流産とはどのようなものなのか?症状や原因も含めて詳しく解説いたします。

化学流産(生化学的妊娠)とは

化学流産とは妊娠5週目頃までに起こる、非常に早期の流産のことです。

妊娠検査薬では妊娠反応が陽性だったにもかかわらず、その後の超音波検査(エコー検査)で胎嚢(赤ちゃんが入る袋)が確認できない場合、すでに化学流産してしまった可能性が高いと言えます。

妊娠に注意深くなっている人以外は通常は化学流産に気づかず、単に月経が遅れてきたと考えることでしょう。

化学流産のほかに生化学的妊娠や化学妊娠と呼ぶこともありますが、いずれも意味合いは同じです。

【化学流産の特徴】

  • 妊娠検査薬は陽性だったのに、その後生理がきた(と感じる)
  • 妊娠検査薬は陽性だが、妊娠初期の通常の兆候が見られない

化学流産以外の流産の種類や特徴などについてはこちらのコラムをご参考にしてください。

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DNAサイエンス

化学流産はどのように分かる?

そもそも妊娠検査薬は、妊娠すると分泌されるホルモンであるhCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)を検出することで妊娠の有無を判定しています。

ほとんどの人は妊娠検査薬で陽性を確認してから産婦人科を受診して、本当に妊娠しているか?正常な妊娠か?を確認すると思います。

産婦人科で行う正常妊娠の診断では、尿検査によるhCGの検出のほか、超音波検査で子宮内に「胎嚢(たいのう)」を確認し、さらに「心拍」の確認が必要です。

以下の場合は、化学流産している可能性が高いと考えられます。

【化学流産の可能性が高い】

  1. 妊娠検査薬で陽性 かつ 最終月経開始日から5週以上経過している
  2. 子宮内に胎嚢が確認できない

ただしこの場合でも異所性妊娠(子宮外妊娠)や排卵日のズレなどが考えられますので、1週間程度待って再度子宮内の状態を確認する必要があります。

このように、化学流産は非常に早い時期(妊娠4~5週目)に起こり、超音波検査で胎嚢が確認できる前に流産して子宮内の組織は排出されているため、証拠は残りません

妊娠検査(尿検査または血液検査)を行わずに化学流産であったかどうかを知ることはできません。

妊娠検査薬はいつまで陽性?

陽性の妊娠検査薬

妊娠すると分泌されるhCGは、化学流産すると尿中のhCGも減っていきやがて妊娠検査薬は陰性になりますが、hCGが減るペースは個人差がありますし、化学流産をした正確なタイミングは誰にも分かりません。

一度、妊娠検査薬で陽性だったものの、信じられず確認のために何度も検査をしたくなる気持ちは分かりますが、化学流産は気をつけて防げるものではありませんし、妊娠検査薬が陽性だったならどのような場合でも受診して詳しく調べる必要があります。

妊娠検査薬が使えるようになる時期や、陽性だったのに妊娠していないケースなどについてはこちらのコラムをご参考にしてください。

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化学流産の症状

化学流産の症状は生理のような出血がある程度で、起こる時期も最終月経開始日から5週間前後のため、単に生理が遅れてきたと思うだけで、検査をしなければ妊娠したことにすら気づかない人が大半でしょう。

生理痛のような腹痛はほとんどなく、出血量はいつも通りかいつもの生理よりやや多い程度で、レバーのような血の塊が混ざることもあります。

化学流産の確率は?

流産と聞くと、「何か自分たちに原因があったのでは。。。」と思うかもしれませんが、若くて持病のない健康的なカップルでも30~40%に化学流産は起こり、決して珍しいものではありません。

ですが、現代では妊娠検査薬を使用することが当たり前になり、検査推奨時期より早いタイミングで検査をするいわゆるフライング検査や、早期妊娠検査薬の登場などによって早い時期に妊娠に気づくことが多くなり、結果として化学流産が発覚するケースも増えることとなりました。

また、体外受精による妊娠を試みている場合は、妊娠を綿密に監視しているため化学流産に気づく可能性も高くなります。

化学流産が起こる原因

妊娠12週までの早期流産の原因の多くは受精卵の染色体異常によるもので、これ以上育つことができないために起こります。

化学流産も同様に染色体異常によるものと考えられており、防ぐ手立てはありません。

化学流産の治療は?

化学流産では子宮内容物は生理のように排出されますので、医療介入は必要としません。

何もせずとも月経も排卵も通常通り起こります。

なお、日本では化学流産は流産としてカウントせず、医療機関で正常な妊娠を確認後の流産とは現時点では別のものと考えています。

繰り返す化学流産

一度化学流産を経験したからといって、必ずしも次回も同じように化学流産が起こるわけではありません。

多くの女性が一度の化学流産を経験した後、正常な妊娠を遂げることができます。

一方で、不妊症の治療中に化学流産を繰り返すケースがありますが、これが反復流産や習慣流産と同じ発生機序を持つのかは分かっていません。

次の妊娠への影響

化学流産を一度経験しても、次の妊娠への影響は少ないとされています。

通常、女性の月経周期は化学流産後1~2週間程度で再開します。

ただしこれはhCGが体内にどれくらい残っているかによって異なり、月経周期が再開し排卵が起こるためにはhCGがゼロに低下する必要があります。

月経が再開すれば再び妊娠を試みることができます。

まとめ

ソファに座って寄り添い合う夫婦の後ろ姿、前向きなイメージ

化学流産は妊娠5週目頃までに起こる非常に早期の流産のことで、妊娠検査薬では陽性だったのにその後医療機関では陰性、もしくは胎嚢が確認できなかった場合、すでに化学流産してしまった可能性が高いと言えます。

妊娠を待ち望んでいるカップルにとってはとても辛いことですが、化学流産は防ぐ手立てがなく、若くて持病のない健康的なカップルでも30~40%に化学流産は起こり、決して珍しいものではありません。

そのため自分たちを責める必要はなく、また次の妊娠への影響も少ないとされているため、考えすぎないようにしましょう。


【参考URL】

生化学的妊娠(Biochemical pregnancy)の扱い方 | 日本産婦人科医会


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