
妊娠初期は流産が起こりやすい時期ですが、その中でも流産しやすい行動にはどのようなものがあるのでしょうか?
妊娠12週未満の流産の多くは防ぐことができませんが、それ以降の流産は感染症対策や飲食物、物理的な影響に気をつけることで防げる可能性があります。
ここでは流産しやすい行動についてご紹介しています。
妊娠初期の流産しやすい行動
流産になってしまうことは決して特別なことではなく、妊娠した人のうち6~7人に1人は流産しています。
その中でも妊娠初期は最も多く流産が起こっている時期で、流産の実に8割以上は妊娠12週未満で発生しています。
妊娠12週未満の流産の多くは受精卵の染色体異常による自然発生的な原因によるもので、これを防ぐ手立ては残念ながらありません。
妊婦さんの妊娠前後の行動や飲食物などは多くの場合関係なく(過度なものを除く)、妊娠初期の流産の大半はもともと育つことが難しい受精卵だったことが原因です。
染色体異常以外の妊娠初期の流産の原因としては、感染症、子宮の異常、免疫系の問題、薬物による影響などが考えられます。
流産しやすい行動チェックリスト
妊娠16週ごろになると胎盤が完成し、いわゆる「安定期」と呼ばれ流産のリスクも少なくなります。
しかし妊娠中にリスクが全くない時期というのはなく、妊婦さんの行動や摂ったものがおなかの赤ちゃんに影響を与えることもあります。
流産につながりやすい行動について見ていきましょう。
【流産しやすい行動チェックリスト】
- 喫煙
- アルコール
- 過度なカフェイン
- 身体に過度な負荷をかける(過度な運動)(重いものを持つ)
- コンドームを付けない性行為
- 非加熱の加工食品や生ものを食べる
タバコやアルコールは妊娠を計画している段階でやめることが理想ですが、妊娠が分かった時点ですぐにやめれば基本的に問題ありません。
喫煙

タバコによって血行が悪くなり、胎児に酸素や栄養が十分に行き渡らなくなり、発育が悪くなって流産や早産、低出生体重児や胎児死亡につながりやすくなります。
妊婦さん自身が喫煙をしていなくても副流煙でも同じで、流産や早産になるリスクが2~3倍違うと言われています。
アルコール

アルコールは胎盤で除去されず、通過して胎児に直接害を与え、胎児アルコールスペクトラム障害などを引き起こします。
特に妊娠初期の飲酒は中枢神経障害、顔面を中心とする形態異常、成長障害、流産のリスクを高めます。
過度なカフェイン

カフェインの過剰摂取は胎盤を通過して胎児の成長にも影響し、流産や早産、低出生体重児のリスクを高めます。
過度なカフェインは禁物ですが、1日に1~2杯のコーヒー程度(カフェイン摂取量は200mg/日)なら問題ないとされています。
身体に過度な負荷をかける

重いものを持つ、お腹を圧迫する姿勢をとる、長時間同じ姿勢でいる、激しい運動をする、などの身体に過度な負荷がかかる行為は避けましょう。
重いものを持つと腹部に圧力がかかるため、子宮にストレスを与えて子宮収縮を引き起こすことがあります。
コンドームを付けない性行為

妊娠中は避妊の心配がないためコンドームを付けない方も多いかもしれませんが、精液は子宮を収縮させる効果があるため妊娠中でも必ずコンドームを使用しましょう。
また、性感染症にかかると子宮内感染を引き起こし流産や早産のリスクを増加させる可能性があります。
非加熱の加工食品や生ものを食べる

非加熱の加工食品や生ものによって食中毒や寄生虫に感染すると流産や早産になったり、胎児に感染する恐れがあります。
生ハムやレア肉などの加熱が不十分な食べ物は寄生虫「トキソプラズマ」に感染する恐れが、加熱殺菌されていないナチュラルチーズはリステリア菌に感染する恐れがあります。
妊娠初期の流産の兆候
妊娠初期の流産の兆候としては「不正出血」と「腹痛」がありますが、これらが必ずしも流産を意味するわけではなく、また症状がほとんどなく流産が起こる場合もあります。
不正出血(性器からの出血)はちょっとした刺激などで正常な妊娠経過でも起こる可能性がありますが、鮮やかな色の血が出る場合や、強い腹痛を伴う場合は流産の可能性が高くなります。
まとめ

妊娠初期の特に妊娠12週未満の流産は、多くの場合受精卵の染色体異常によってこれ以上育つことができないために起こります。
そのため妊娠12週未満で性器出血や下腹部痛などの流産の兆候があり急いで受診したとしても流産に至る可能性が高く、防ぐことも難しいとされています。
一方で妊娠12週以降の流産は、感染症や環境、物理的な影響によるものも多く、気をつけることで防げる場合があります。
流産の一方手前の状態である「切迫流産」について、こちらのコラムもご参考にしてください。