妊娠初期は妊娠が発覚して喜びいっぱいなのと同時に身体のさまざまな変化に戸惑い、不安を大きく感じる時期でもあります。
女性の身体は妊娠するとどのような変化がおこり、おなかの赤ちゃんはどのように成長していくのでしょうか?
ここでは、妊娠初期におこる可能性のある出血や気をつけるポイントなどについても合わせてご紹介していきます。
妊娠初期とはいつからいつまで?
妊娠初期とは、妊娠1ヵ月~4ヵ月(妊娠0週~15週)の期間のことをいいます。
その中でも妊娠0週~妊娠3週頃までを俗に「妊娠超初期」と呼ぶこともあります。
多くの方が「妊娠したかも?」と気づくのが妊娠4~5週頃ですので、妊娠超初期ではほとんどの方は自覚症状はありません。
妊娠週数の数え方
妊娠のスタートは性行為をした日だと思いがちですが、妊娠期間の数え方としては少し違います。
妊娠の開始は「最後に生理(月経)が始まった日」を「妊娠0週0日」としてカウントします。
妊娠が成立するためには、精子と卵子が出会える「排卵」のタイミングで性行為をし、受精した受精卵が1週間ほどかけて子宮へ移動し「着床」することが条件になります。
受精した日や着床した日はだいたいの予測はできても正確には分かりませんので、自分で確認ができる生理が始まった日を起点として妊娠期間を数えます。
つまり「妊娠0週0日」はまだ受精もしていませんので、妊娠だなんて数えるのは不思議ですし面白いですよね。
妊娠初期の症状
妊娠初期の症状は妊娠4~5週頃になんらかの症状を感じる方が多く、つわりが始まるのも妊娠5週頃です。
ですが、早い方では妊娠3週頃から身体の変化を感じることもあります。
妊娠初期の症状をチェックしてみましょう。
【妊娠初期症状】
- 胃がムカムカする、吐き気がある
- 胸が張る、乳首が擦れて痛い
- イライラする
- 突然悲しくなる
- 眠気が強い
- 火照る
- おりものの量が増えた、黄色っぽい
- 頭痛
- 腹痛
- 腰痛
- 関節痛
- 肌が荒れる
- 下痢、便秘気味
- トイレが近い
- むくむ
妊娠すると、ホルモンバランスの変化で身体にさまざまな影響があらわれます。
これらの症状はPMS(月経前症候群)と似ていますが、「いつもの生理前と違う気がする?」と感じる方が多いようです。
妊娠の確認方法
「もしかして妊娠したかも?」と思ったら妊娠検査薬で確認してみましょう。
妊娠検査薬が反応するのは、次の生理開始予定日から1週間後くらいからです。
次の生理予定日がいつか分からない。。。という方は、排卵日頃に性行為した日から3週間後くらいが目安です。
妊娠検査薬で陽性(妊娠反応あり)が出たら、妊娠している可能性が高いので婦人科で診てもらいましょう。
婦人科を受診するタイミングは、次の生理予定日の1~2週間後が目安です。
妊娠初期の特徴
妊娠初期はおなかの赤ちゃんはまだ小さくそれほど多くの栄養を必要としない半面、脳や脊髄、心臓など体の重要な器官がつくられる大事な時期です。
まだ妊娠に気づいていない時期も含まれる妊娠初期ですが、タバコやアルコールの影響を受けやすく流産や早産のほか、胎児に奇形などが起こる確率が高くなりますので、妊娠前からの注意が必要です。
ママのおなかはまだ目立たないため見た目では妊娠していると分かりませんが、妊娠3ヵ月頃はつわりのつらさがピークを迎えます。
つらい時に体を休められるようできる限り周囲の協力を得て環境を整えつつ、つわりには必ず終わりがありますので今を乗り切りましょう。
妊娠1か月
妊娠1ヵ月は妊娠0週~3週にあたります。
妊娠1週ではまだ受精もしていないため、何の変化も感じません。
最後に生理が始まった日を妊娠0週0日としてカウントするため、妊娠1週はちょうど生理が終わった頃です。
妊娠2週は排卵がおこる時期です。
生理周期が28日の女性の場合、排卵日は生理が始まった日から約14日後になります。
卵子の寿命はおよそ1日、精子の寿命はおよそ3日程度ですので、排卵日の3日前くらいからセックスをすると妊娠の可能性が高くなります。
受精した受精卵はおよそ1週間かけて細胞分裂を繰り返しながら子宮へ移動していきます。
妊娠3週は着床する時期です。
子宮内膜に受精卵が着床すると妊娠が成立します。
受精卵が着床するときに子宮内膜が傷つくことで起こる「着床出血」があると、生理の出血と間違われることがありますが、少量の出血ですぐに終わることが特徴です。
まだほとんどの人は妊娠に気づきませんが、中には妊娠超初期の症状を感じる人もいます。
妊娠2か月
妊娠2ヵ月は妊娠4週~7週にあたります。
妊娠4週は次の生理予定日頃です。
早い人では体のだるさや食欲がわかないなどつわりが始まりますが、妊娠検査薬を使ってもまだはっきりと反応が出ないこともあります。
なんとなく熱っぽかったりだるいなどの症状から「風邪かも?」と思い薬を飲んでしまうことがありますが、妊娠の可能性がある方はむやみに薬を飲まないよう注意しましょう。
ママの子宮の中では胎盤ができ始めています。
妊娠5週は生理予定日を1週間ほど過ぎた頃で、多くの女性が妊娠に気づき始めます。
妊娠検査薬の使用推奨時期ですが、生理不順がある方などは実際は妊娠していても陰性と出たりうっすらとしか反応しないことがありますので、その場合は数日~1週間ほど待ってから再度検査をしてみましょう。
超音波検査では、赤ちゃんを包み込む胎嚢(たいのう)が確認できるようになります。
妊娠6週頃には赤ちゃんの心臓の動きが分かるようになり、この「胎嚢」と「心拍」を確認できると妊娠確定です。
心臓のほかにも脳や脊髄などさまざまな器官が作られ始めています。
ママとおなかの赤ちゃんはへその緒を通じて胎盤でつながっていて酸素や栄養などの受け渡しが行なわれていますが、まだ胎盤のフィルター機能が十分でないためウイルスやタバコなどの影響を最も受けやすい時期です。
妊娠7週はママのつわりが本格的につらくなってくる時期で、強い眠気や疲労感、息切れなどが起こりやすくなります。
食欲がわかない、胃がムカムカするなど消化器系の不快症状が多くあります。
まだ見た目では妊娠していると分からないため周囲につらさが伝わりにくいですが、家事などはよく話し合って役割分担ができると良いですね。
妊娠3か月
妊娠3ヵ月は妊娠8週~11週にあたります。
つわりのつらさがピークを迎えるのが妊娠8週~10週頃です。
食べても吐いてしまったり、炊きたてのご飯の香りで気持ち悪くなるなど匂いに敏感になります。
つわり以外にも便秘や頻尿に悩まされやすく、おりものも量が増えます。
胎児の体の各器官はどんどん作られており、内臓の基礎ができあがります。
人間らしい顔つきになり、頭と胴体がはっきりと分かれ、手足の指も分かるようになってきます。
妊娠9週頃になると胎児が活発に動いている様子が超音波検査でみられるようになります。
ですが、まだ力が弱いため胎動として感じるようになるのはもう少し先の話になります。
早い人は妊娠10週頃からつわりが落ち着いてきますが、多くの人が落ち着いてくるのは妊娠15~16週頃です。
つわりの症状は自然と消えていったという人がいれば、ある日突然なくなったという人もいますので終わり方は人それぞれです。
妊娠4か月
妊娠4ヵ月は妊娠12週~15週にあたり、ママのおなかは少しずつふっくらとしてきます。
流産の8割以上は妊娠12週未満の妊娠初期におこっているため、妊娠4ヶ月を迎えると流産になる可能性が下がったといえます。
これまで基礎体温が高かった基礎体温が下がってきて平熱に戻るため、熱っぽくてだるかった体調が落ち着いてきます。
つわりがおさまってきて食欲が回復し、体重が一気に増えやすい時期でもあります。
便秘にもなりやすいため食べる量や質も意識していきましょう。
妊娠12週になると赤ちゃんの外性器ができあがりますが、超音波検査での画像ではまだ分かりづらく、男の子は妊娠15週頃、女の子は妊娠18週頃に判別できるようになります。
骨や筋肉も発達してきて手足を動かすようになります。
今までは透けるようだった皮膚は不透明になり厚みが増し、産毛も生えてきます。
赤ちゃんは体重100gほどに成長し、羊水を飲んで母乳を飲む練習を始めています。
妊娠初期に気をつけるポイント
妊娠中のアルコールやタバコはNGだということは周知の事実ですが、そのほかどのようなことに気をつければよいのでしょうか?
【妊娠初期に気をつけるポイント】
- タバコ
- アルコール
- カフェイン
- 薬、サプリメント
- レントゲン
- 感染症
- 食生活
タバコやアルコールは妊娠が分かった時点ですぐにやめれば基本的には問題ありません。
しかし、妊娠前の摂取量が多かった場合などは胎児に影響が出る可能性がありますので、妊娠を希望する場合は妊娠前から控えましょう。
*タバコ*
タバコは血流を悪くし赤ちゃんに栄養や酸素がうまく行き渡らず、発育が悪くなって低出生体重児で生まれやすくなります。
これは副流煙でも同じで、流産や早産になるリスクが2~3倍違うと言われています。
*アルコール*
アルコールを大量に摂取していると「胎児性アルコール症候群」という顔面の奇形や低出生体重児、難聴や脳の障害、ADHD(注意欠陥・多動性障害)などの発達障害がおこるリスクが高くなります。
*カフェイン*
コーヒーなどに含まれるカフェインは胎盤を通して胎児にも影響し、発育が悪くなり早産や低出生体重児につながる可能性が指摘されています。
*薬・サプリメント*
薬やサプリメントの妊娠に及ぼす影響はその成分によって異なり、例えば風邪薬は基本的に大丈夫ですが頭痛薬の多くはNGです。
漢方薬なら大丈夫と思いがちですが一概に言えず、必ず薬剤師や医師に相談してください。
*レントゲン*
妊娠中のレントゲン検査については、基本的に歯や胃など通常の検査であれば心配することはありません。
ですが妊娠の可能性があるのなら避けるのが基本ですので、必ず医師へその旨伝えましょう。
*感染症*
免疫力が下がる妊娠中は重症化しやすいため風邪にも油断大敵です。
習慣化していると思いますが、外出時のマスクと帰宅後の手洗いうがいを徹底しましょう。
*食生活*
おなかの赤ちゃんを育てるためにはママの健康が第一です。
妊娠前からのバランスの良い食事を心がけられると良いですね。
不足しがちなカルシウムや鉄分は積極的に摂りましょう。
特に妊娠を意識したときから摂ってほしい栄養素が「葉酸」です。
葉酸を妊娠前から十分に摂取すると胎児に無脳症などの「神経管閉鎖障害」がおこるリスクが下がることがわかっています。
妊娠中に絶対に食べてはいけないというものはほとんどありませんが、生肉などの非加熱食品や一部の魚介類など避けるべきもの、量を控えた方がいいものがあります。
どれも即座におなかの赤ちゃんに影響するわけではありませんが、あとから「あのとき気をつけていれば。。。」と思うことがないよう、妊娠に気づいた段階で対策をとりましょう。
妊娠初期におこる出血
生理でもないのに出血していると不安になりますよね。
妊娠初期に起こり得る出血はいくつかの原因が考えられます。
【妊娠初期におこる出血の原因として考えられるもの】
- 着床出血
- 子宮膣部びらん
- 子宮頸管ポリープ
- 内診などの刺激による出血
- 子宮外妊娠(異所性妊娠)
- 切迫流産・流産
- 絨毛膜化血腫
- 胞状奇胎
- 子宮頸がん
4.までの出血はあまり心配いりませんが、5.以下はトラブルにより出血がおこっています。
特にお腹の張りや痛みをともなう出血はすぐに受診してください。
妊娠初期の出生前診断
妊娠中におなかの赤ちゃんについて何らかの先天性の病気がないか調べる検査のことを「出生前診断」といいます。
その種類はいくつかあり、すべての先天性(生まれつき)の病気が分かるわけではなく対象としている疾患や得意不得意に違いがあります。
出生前診断では、四肢の状態や口唇裂・口蓋裂といった見た目で分かる「形態異常」を調べる検査と、ダウン症などの「染色体異常」を調べる検査があります。
検査が受けられる時期は、およそ妊娠10週~18週ごろですので希望する場合は早めに実施施設を探す必要があります。
まとめ
妊娠初期は外見からはほとんど分かりませんが、女性の身体の中では日々さまざまな変化がおこっています。
心身ともに不安定でまだおなかに赤ちゃんがいる実感も湧きづらい時期ですが、つわりが落ち着くころには胎動を感じられるようになってきます。
必要以上に心配せず、もし不安なことがあればお医者さまに相談して、健やかに過ごしてくださいね。