妊娠初期におこる着床出血は、生理があるタイミングとよく似ているため「生理がきたのに実は妊娠していた?!」ということがおこります。
妊娠初期にあたる時期の出血は、着床出血の可能性もありますし、不正出血の可能性もあります。
もしかしたら妊娠ではなく、本当に生理がきたのかもしれません。
着床出血と生理はどのように違うのでしょうか?
ここでは、着床出血と生理の見分け方のポイントと、妊娠初期におこる出血についてご紹介しています。
着床出血とは
着床出血とは受精卵が子宮内膜に着床するときに、子宮内膜が傷つくことでおこる出血のことをいいます。
妊娠の成立は、精子と卵子が出会い受精したときではありません。
卵管で出会った精子と卵子が受精すると、受精卵となります。
受精卵は、細胞分裂を繰り返しながら約1週間をかけて子宮へと移動します。
子宮へと移動した受精卵(胚)が、子宮内膜に定着することを着床(ちゃくしょう)といいます。
受精卵が子宮内膜の正しい場所以外の場所に着床してしまうことを「異所性妊娠(子宮外妊娠)」といい、その場合は残念ながら妊娠を継続することはできません。
そのため受精卵が子宮内膜に正しく着床できて妊娠成立とします。
着床出血は妊娠したすべての女性におこるわけではなく、4人に1人以下の頻度といわれています。
着床出血があることや、逆にないことはその後の赤ちゃんの成長に影響はありませんので、どちらだったとしても心配する必要はありません。
着床出血はいつおこる?
着床出血がおこるタイミングは次の生理予定日の前後にあたるため、生理と勘違いすることもあります。
そのため「生理がきたのに妊娠していた?!」ということがおこります。
妊娠の成立は着床したときですが、妊娠週数の数え方は少し異なります。
最後に生理が始まった日を「妊娠0週0日」と数えます。
精子と卵子が受精できるタイミングは排卵日のあたりですが、排卵があるのは最終月経の開始日からおよそ2週間後にあたり、これは妊娠週数でいうと「妊娠2週」頃になります。
まだ受精もしていないのに「妊娠」なんて数えるのは面白いですよね。
着床するのは、受精したおよそ1週間後になりますので、妊娠週数でいうと「妊娠3週」頃になります。
生理が始まった日は自分で分かりますが、受精した日や着床した日は正確には分かりませんので、妊娠週数のカウントは「最終月経の開始日」としています。
そして、妊娠していなければ次の生理が始まるのは「前回の生理が始まった日からおよそ4週間後(28日程度)」で、妊娠週数でいうと「妊娠4週」頃になります。
前置きが長くなりましたが、着床出血がおこるのは「着床した妊娠3週頃」を過ぎたあたりからですので、「予定より早く生理がきた?」と思ったら、着床出血だったということもあります。
また、着床出血は着床してすぐにおこるとは限らず、体内では出血しているけれども排出されるまでに少し時間がかかった、ということもありますので、次の生理予定日前後になることもあります。
着床出血と生理の見分け方のポイント!
着床出血と生理があるタイミングはよく似ていますが、見分けるポイントは何でしょうか?
【着床出血と生理を見分けるポイント】
- 出血量の違い
- 出血する期間の違い
- 色の違い
着床出血と生理では、出血量やその期間、色などの違いがあげられますが、そもそも生理にも個人差がありますので一概にはいえません。
ですが、着床出血の場合は「いつもの生理となにか違う?」と感じることが多いようです。
出血量の違い
着床出血の場合、生理に比べて量が少ないのが特徴です。
生理の場合は最初の出血があってからその後どんどん量が増える人が多いですが、着床出血の場合は少量の出血で終わる人が多いようです。
出血する期間の違い
着床出血の場合、生理に比べて出血している期間が短いのが特徴です。
生理の場合は出血があってから、その後量が増えて5~7日程度続きますが、着床出血の場合は1~3日程度で終わる人が多いようです。
「少量の出血があったがすぐに終わった」という場合は着床出血である可能性のほうが高いでしょう。
出血した色の違い
着床出血の場合、「いつもの生理と色が違う?」と感じるかもしれません。
生理の出血の色は、「鮮やかな赤」「濃い赤」であることが多いですが、着床出血の場合「薄い赤」「真っ赤」「茶色っぽい」など個人差がありますが、なんらかの違いを感じることが多いようです。
着床出血は、出血があってからすぐに体外に排出されると薄い赤であったりピンク色のおりもののような状態で出てきますが、出血後もしばらく体内にとどまった後で排出されると、茶色っぽくなりますので色の違いがあります。
妊娠初期におこる出血の種類
妊娠初期におこる出血は、着床出血以外にもいくつかの原因が考えられます。
【妊娠初期におこる出血の原因として考えられるもの】
- 着床出血
- 子宮腟部びらん
- 子宮頸管ポリープ
- 内診などの刺激による出血
- 子宮外妊娠(異所性妊娠)
- 切迫流産、流産
- 絨毛膜下血腫
- 胞状奇胎(異常妊娠の一つ)
- 子宮頸がん
2.子宮腟部(ちつぶ)びらんとは、女性ホルモンの影響で子宮の入口が赤く炎症しているように見える生理的な現象のことで、生理があるほとんどの女性に見られます。
3.子宮頸管ポリープとは、子宮頸部(けいぶ)にできる良性のポリープ(腫瘍)のことで、ほとんどの場合痛みはありません。
4.内診などの刺激により、性器から出血することがあります。
少量ですぐに治まるようなら問題ありませんが、痛みがあったり出血が続く場合はすぐに受診してください。
5.子宮外妊娠(異所性妊娠)とは、受精卵が子宮内膜の正常な場所以外に着床してしまうことをいい、残念ながら妊娠を継続することはできません。
6.切迫流産とは、まだ流産してはいませんが「流産の一歩手前」の状態です。
流産とは、妊娠22週未満におなかの赤ちゃんが亡くなってしまうことをさし、流産の8割以上は妊娠12週未満の早い時期におこっています。
7.絨毛膜下血腫(じゅうもうまくかけっしゅ)とは、絨毛膜と子宮内膜の間にできた血の塊のことで、妊娠初期によくみられます。
絨毛膜下血腫の多くの場合は安静にすることで症状が治まりますが、流産のリスクもあります。
8.胞状奇胎(ほうじょうきたい)とは、絨毛組織の一部が異常に増殖したもので異常妊娠の一つです。
残念ながら妊娠を継続することはできません。
9.子宮頸がん(しきゅうけいがん)とは、子宮頸部にできるがんのことで妊娠初期の検診の際に発見されることがあります。
早期には自覚症状がないことがほとんどですが、進行すると不正出血や下腹部痛などがあらわれます。
4.までの出血はあまり心配いりませんが、5.以下はトラブルにより出血がおこっています。
特に、お腹の張りや痛みを伴う出血は、すぐに受診してください。
着床出血があったらどうすればいいの?
「これって着床出血?」と思ったらどうすればいいのでしょうか?
妊娠発覚前であれば、まずは妊娠検査薬で妊娠かどうか確認しましょう。
多くの妊娠検査薬は、次の生理予定日のおよそ1週間後からの使用を推奨しています。
妊娠検査薬で陽性の反応が出たとしても、妊娠は確定ではありません。
妊娠検査薬は精度が高いとはいえあくまでも「妊娠の可能性」を知るためのものですので、陽性の反応が出たら病産院で診察を受けましょう。
妊娠発覚後の妊娠初期に不正出血がある場合、出血量や自覚症状だけで自己判断することは危険ですので、早めにお医者さまにご相談くださいね。
まとめ
着床出血と生理はおこるタイミングが似ているだけではなく、着床出血がある妊娠初期の症状と生理前におこる月経前症候群(PMS)の症状もとてもよく似ているため、間違いやすく注意が必要です。
性器からの出血があった場合、人に相談しにくいデリケートな話なので1人で抱え込み悩んでしまう方もいらっしゃるかもしれませんね。
着床出血の場合は少量ですぐに終わりますが、出血の量が多かったりだらだらと続く場合は他の原因も考えられますので、悪化させないためにもすぐに受診して、不安な気持ちのまま過ごさないようにしてくださいね。