常位胎盤早期剥離の症状となりやすい人の特徴

妊娠中期から後期に起こる油断できないトラブルの一つとして、常位胎盤早期剥離があります。

胎盤は赤ちゃんに栄養や酸素などを届けているため、はがれた部分が大きいと大量に出血し胎児死亡にもつながります。

ここでは、常位胎盤早期剥離の症状と胎児への影響、なりやすい人の特徴などについてご紹介しています。

常位胎盤早期剥離とは

常位胎盤早期剥離（じょういたいばんそうきはくり）とは、正常に位置している胎盤が出産前に子宮壁からはがれてしまう状態のことをいいます。

胎盤は通常赤ちゃんが産まれた後に自然とはがれて後産として排出されますが、常位胎盤早期剥離ではなんらかの理由によってお産が始まる前に胎盤がはがれてしまいます。

症状の程度は幅広く、安静にすれば治まるケースから、胎児死亡や母体の脳性麻痺につながるケースまであります。

どこが痛い？症状

症状は突然の下腹部の激しい痛みと性器出血です。

陣痛との違い

陣痛の前触れとして不規則なお腹の張りや弱い痛みがあり、痛みはずっと続くわけではなく収まってまた痛みがきてを繰り返します。

一方で常位胎盤早期剥離の場合は持続的な痛みがあります。

前兆は？なりやすい人の特徴

多くの場合、常位胎盤早期剥離は前兆なく突然に発生します。

赤ちゃんへの影響

胎盤はおなかの赤ちゃんにとって生命維持と成長にかかせない、酸素と栄養を供給する、老廃物を排出するといった重要な役割を担っています。

胎盤がはがれると胎児への酸素と栄養の供給が不足し、剥離が一気に進むと胎児死亡につながるリスクが高まります。

はがれた範囲が狭かったり徐々にはがれた場合は、胎児死亡まで至らなくても胎児発育不全になったり早産、前期破水につながりやすくなります。

何人に1人に起こる？

常位胎盤早期剥離は全妊娠のうち100人～200人に1人程度の頻度で起こっています。

特に、以前の妊娠で既往歴があるなど上記の「なりやすい人の特徴」に当てはまる人はしっかりモニタリングを行うなど注意が必要です。

原因

常位胎盤早期剥離が起こる正確な原因は明らかではありませんが、いくつかの要因が関連していると考えられています。

妊娠高血圧症候群は胎盤の機能不全を引き起こし、早期剥離のリスクを高めます。

車の事故や転倒など、腹部に直接的な衝撃が加わると胎盤剥離の引き金になることがあります。

上記の要因はそれぞれが独立して作用することもあれば、複数の要因が相互に作用して胎盤早期剥離を引き起こすこともあります。

予防するには？

常位胎盤早期剥離を完全に防ぐ方法は確立されていませんが、リスクを低減するために推奨されるいくつかの対策があります。

これらの予防策は、妊娠中の一般的な健康維持にも貢献します。

治療と分娩

その他胎盤に起こるトラブル

常位胎盤早期剥離以外にも、胎盤はさまざまなトラブルが起こる可能性があります。

胎盤の重要な役割を考えると、どれも油断できない状態です。

癒着胎盤とは胎盤の組織が通常より深く癒着しているために、出産後に胎盤が子宮壁からはがれ出てこない状態のことをいい、大量出血の危険性があります。

まとめ

常位胎盤早期剥離は分娩前に胎盤が子宮壁からはがれてしまう病状で、母体と胎児に重大なリスクをもたらす可能性があります。

症状には下腹部痛や性器出血などがあり、特に激しい痛みや大量の出血を伴う場合はただちに医療機関を受診してください。

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【参考】

常位胎盤早期剥離-日本産婦人科医会