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双子の一人が消えてしまうバニシングツインって?

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author:DNAサイエンス
双子妊娠でおこるバニシングツイン

双子の妊娠初期に起こり得るバニシングツインは、双子妊娠の中ではそれほど珍しい現象ではなく誰にでも起こる可能性があります。

片方の子が消えてしまう不思議な現象ですが、助ける術などはないのでしょうか?

今回はバニシングツインで生き残った胎児への影響や母体への影響、バニシングツインが起こる確率などについてご紹介しています。

バニシングツインとは

バニシングツインとは双子を授かったと分かったごく妊娠初期のうちに、片方の児が亡くなり子宮から消えたように見える現象のことをいいます。

子宮から消えたと言われると都市伝説のようにも聞こえますが、実際は亡くなった赤ちゃんが子宮に吸収されたことで消えたように見えています。

妊娠の確認は超音波検査(エコー検査)によって、赤ちゃんが入っている袋である胎嚢(たいのう)と心拍があるかで診断します。

胎嚢が確認できるようになるのは妊娠5週頃で、心拍を確認できるようになるのは妊娠6週頃になります。

この際に胎嚢が2つあったり心拍が2つだったりすると、双子だと分かります。

ところが一度は「双子の妊娠ですね」と言われたにもかかわらず、次の妊婦健診では胎嚢や心拍が1つしか確認できないことがあり、これをバニシングツインと呼びます。

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原因と予防のためにできることは?

なぜこのような現象が起きるのでしょうか?

バニシングツインが起こる原因についてはいまだに分かっていません。

妊娠初期に双子の片方が亡くなってしまうバニシングツインですが、双子の妊娠に限らず医療機関で妊娠を確認された女性のうち約15%が流産しており、そのなかでも特に妊娠12週未満の妊娠初期に起こる流産が8割以上を占めていますので珍しいことではありません。

妊娠初期に起こる流産の多くは胎児に遺伝子や染色体の異常などがあり育つことができないために起こります。

胎児の染色体異常は、多くの場合両親に原因はなく偶然に起こります。

バニシングツインについても同様で、防ぐためにできることは残念ながらありません。

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生き残った胎児への影響は?

バニシングツインで生き残った赤ちゃんへの影響

バニシングツインでは亡くなった赤ちゃんは吸収されてしまうため手術などの処置は必要なく、生き残ったもう一人の赤ちゃんへの影響はほとんどの場合はないとされています。

双子の妊娠の中でも胎盤が二つある場合と一つの胎盤を共有している場合があります。

胎盤はおなかの赤ちゃんに必要な酸素や栄養補給、老廃物の排出などを血液を介して受け渡しをする場所として機能しており、生命維持と成長に重要な役割をはたしています。

そのため胎盤が一つの双子の場合は赤ちゃん同士の血液が胎盤を通じて行き来し、ただでさえお互いに影響力があります。

特に胎盤が一つだった場合のバニシングツインでは先天性の障害や合併症、低出生体重児として生まれる確率が高くなるとの報告もあり、より注意深く見守っていく必要があります。

母体への影響は?

バニシングツインで体を心配する妊婦

亡くなった赤ちゃんは母体へ吸収されてしまうため特別な対応はいらず、ママの体への影響もありません。

もし流産してしまった場合の処置は、胎児を含めて胎盤など子宮の内容物がすべて体外へ排出されている「完全流産」では手術の必要はありません。

一方で子宮内に何らかの組織が残っている「不全流産」では一定期間待って自然と排出されなければ手術にて取り出します。

バニシングツインでは亡くなった胎児や関連する組織は吸収されるためこのような対応は必要ありません。

ただし胎児がある程度成長した妊娠中期以降に双子の片方の赤ちゃんが亡くなった場合は、亡くなった児が吸収されない可能性が高くなり、この場合はバニシングツインとは呼びません。

手術などの処置を行なうことになります。

バニシングツインの確率

双子が確認された妊娠のうち、10~15%の確率でバニシングツインが起こっています。

ただし妊娠確認のための婦人科を受診するタイミングが遅めだった場合、受診した段階ですでにバニシングツインが起こっていて双子だったと気づかず初めから単胎妊娠だと思っているケースもあり得るため、実際はもっと多いと考えられています。

近年では出産年齢の高齢化や不妊治療の影響などにより双子、特に二卵性双生児が生まれる割合自体が増えています。

不妊治療では特に妊娠の早い段階で胎嚢を確認することが多いため、双子の確認やその後のバニシングツインの現象を発見する機会も増えていると考えられます。

双子が生まれる確率

双子が生まれる確率

令和4年のデータによると日本ではおよそ100件の分娩に対して1組の双子が誕生しています。

双子が生まれる確率は一卵性と二卵性で異なります。

一卵性双生児が生まれる確率は人種や地域、遺伝や技術などにかかわりなく世界一律で0.4%程度です。

二卵性双生児は人種や地域などによって出生率に差があり、アフリカ系血統など黒人系に多く、黄色人種である日本人は世界的にみると少なめです。

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消失しないケース

通常なら亡くなった胎児は子宮に吸収され消えてしまうバニシングツインですが、吸収されずにしかもその事実が生まれてずいぶん経ってから発覚するケースがあります。

吸収されずにどうなるかと言うと生き残ったもう一人の胎児へと宿り、時には腫瘍だと思って手術をしたところ髪や歯が残っていた、なんていう珍しいケースもあります。

バニシングツインでのNIPTは可能?

NIPT(新型出生前診断)とは妊婦さんの血液中にある胎児由来のDNAを調べることによって、おなかの赤ちゃんのダウン症などの染色体異常について調べる検査のことです。

バニシングツインにおいてもNIPTを受けることができますが、注意点があります。

消えて亡くなった胎児のDNAが残っている場合があり、一卵性双生児なら同じDNAのため残っていても支障ありませんが、二卵性双生児ではどちらの児の検査結果なのか分からないことがあります。

もし検査結果が「陰性(異常なし)」であれば、二人とも陰性なので問題ないでしょう。

検査結果が「陽性(異常がる可能性あり)」だった場合、どちらか片方が陽性もしくは二人とも陽性と考えられますが、亡くなった児だけが陽性だったとすると本来は「陰性」となるはずの生き残っている児が陽性と判定されてしまい、「偽陽性」が起こり得ます。

性別判定も同様で、女の子(XX)の判定なら二人とも女の子なので問題ありませんが、男の子(XY)の判定では二人とも男の子もしくは片方は女の子という可能性があり、違う判定が出ることがあります。

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まとめ

おなかの子を愛でる妊婦

バニシングツインは双子が確認された妊娠のうち、10~15%の確率で起こっており珍しいものではありません。

おなかの赤ちゃんが一人でも二人でも絶対安全な妊娠や出産というものはなく、トラブルが起こる可能性は誰にでもあります。

ママの妊娠前後の行動や食べたものが影響するわけではありませんので、もし起こってしまったとしても決してご自身を責めずにお体を大切にして、亡くなった赤ちゃんに想いを馳せつつおなかの子にたくさんの愛情を注いであげてくださいね。


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