みなさんは電車内などでマタニティマークのキーホルダーをカバンに付けている女性を見て、どのように感じますか?
自分は「自分の目の前の席が空いたら譲ってあげよう」「具合悪そうにしていないか」「困っている様子はないか」とひっそりと見守っていますが、中にはネガティブに捉えて嫌がらせをするような心無い人もいるようです。
なぜそのようなことが起こるのでしょうか?
今回は、マタニティマークの意味と広がっている誤解などについてご紹介いたします。
マタニティマークは何の意味があるのか?
マタニティマークは、妊婦さんに対して周囲の人が配慮を示しやすくしたり、不慮の事故の際に妊婦であることをいち早く知らせるためなどに活用されます。
妊婦さんと言えばお腹の大きな女性を真っ先に思い浮かべるかと思いますが、外見から妊婦さんだと認識できるのは出産前の3ヶ月程度です。
妊娠5ヶ月頃からお腹のふくらみが目立ち始めますが、ゆったりとした服を着ていたら分からないでしょう。
ましてや、他人から見ると妊娠してお腹が出ているのか、単にぽっちゃりしていてお腹が出ているのかは見分けがつきません。
電車で座っているときに、「目の前の女性が妊婦さんだったら席を譲ってあげたい。。。でも妊婦さんじゃなかったら失礼だし。。。」とためらったことがある方も多いのではないでしょうか。
マタニティマークはそのような、手を差し伸べたい人の気持ちを後押しします。
妊娠していると示すことによって交通機関の優先席を利用しやすくなったり、周囲の人が接触に注意するなど配慮しやすくなります。
マタニティマークを付けている女性の体調
妊娠している女性は一見若くて元気なように見えますが、妊娠中、特につわりがある妊娠初期は吐き気や気持ち悪さ、だるさなどを抱えて生活しており、立っているのもツラい状態の人もいます。
それでも会社へ出勤したり、病院へ行ったりと外出しなければならない場面は多々あるでしょう。
妊娠中期になりつわりが落ち着いた時期でも、今度は大きくなってきたお腹によって疲れやすくなったり、腰痛や動悸、息切れに悩まされることが増えてきます。
あきらかに体調が悪そうにしていたり杖をついているご年配の方には自然と気遣いができても、妊婦さんの体調は周囲には分かりづらいものです。
マタニティマークの本来の目的と誤解
このように、マタニティマークは周囲からは妊婦さんだと分かりづらい妊娠中の女性への配慮をしやすくするためのものですが、このマークに対する誤解が一部に存在します。
一見すると元気そうに見える妊婦さんですから、「元気なのに優先席に座っている」「座席をゆずれと言われているようで不快」「えらそう」「幸せアピールをしているようでむかつく」と歪んだ捉え方をする一部の人によって、心無い言葉を投げられたりお腹を叩かれるといった事案が発生しているようです。
なぜこのようなことが発生するのかと言うと、マタニティマークを「親切を強要するもの」と捉えている人がいるからのようです。
ご自身が電車で座っており、目の前に妊婦さんが立っていたとしても、「今日はどうしても疲れているから座っていたい!」ということもあるでしょう。
座席を譲る譲らないはもちろん自由です。
ただし知っておいてもらいたいのは、「マタニティマークを付けた人はサポートを必要としているかもしれない」「体調が良くないかもしれない」ということです。
さらに、妊娠中はタバコを吸うことはもちろん受動喫煙についても防止が原則です。
妊娠中の受動喫煙は喫煙と同様、赤ちゃんの発育が悪くなったり流産のリスクが高くなるなどの懸念があります。
昨今は分煙が進んでいることもあり飲食店でも受動喫煙の機会は格段に減りましたが、妊婦さんだと分かることによってより配慮してもらいやすくなるかもしれません。
幸せアピール?
「幸せアピール」ととられるのはなぜなのでしょうか?
世の中にはいろんな人がいます。
例えば、自分が子どもを持つことを強く望んでいる場合、マタニティマークを見て「幸せ」を感じ、それを「幸せアピール」ととらえることがあるでしょう。
妊娠できない、結婚できない、離婚した、中には仕事が上手くいっていない、人生楽しくない、そんな感情を投影して、「あの人は結婚して子どもまで授かったことをアピールして、自分への当てつけか!」と思ってしまうことは致し方ないのかもしれません。
「座席を譲る」という行為一つとっても、杖をついている人や見るからに体調が悪そうな人には自然と気遣いができても、妊婦さんは「自分より幸せな人」と捉えて妬みから反感を持つことも確かにあるでしょう。
しかし、ここで大切なことは、マタニティマークは「幸せアピール」のために存在するわけではなく、妊娠中の女性が公共の場で周囲の理解や配慮を得るためのものであるという事実を理解することです。
また、「自分より幸せな人」と感じてしまう感情自体に罪はありません。
だからと言って、その感情が他人への配慮を妨げるようになってはいけません。
感情と行動は別であり、感情がどうであれ、お互いに思いやる気持ちが大切です。
使用時に注意すること!
マタニティマークを使用する際はご本人も気をつけた方がよいことがあります。
【マタニティマーク使用時に注意すること】
- マークの目的を理解する
- 周囲の反応を過度に期待しない
マタニティマークは妊婦自身が安全に活動するため、また周囲に配慮を求めるためのものです。
それを「特権」や「優越感」の表示と誤解しないようにしましょう。
多くの妊婦さんは「そんなことは当たり前でしょう!むしろ申し訳ない気持ちでいるのに!」と思われるでしょうね。
しかし実際に、座席を譲ってもらって当たり前といった横柄な態度をとる妊婦さんも中にはいるようです。
周囲の方になにかしらの配慮をしてもらった際は、感謝の気持ちを表すようにしましょう。
また、全ての人がマタニティマークを理解しているわけではなく、見落とすこともあります。
そのため周囲の反応を過度に期待せず、それを求め過ぎないようにしましょう。
なお、ツラい場合は我慢し過ぎず、その旨を伝えて積極的にSOSを発信するようにしましょう。
いつからつける?
特にいつから身につけてくださいというルールはありません。
基本的には妊娠が確定した段階からマタニティマークを使用できますが、妊娠の状況や体調は一人ひとり違いますので、ご自身の判断で大丈夫です。
特に妊娠初期は外見からは妊娠が分かりにくいため、マタニティマークをつけることで周囲に妊娠を知らせることができます。
妊娠初期はつわりが辛い時期でもありますし、仮に何か事故が起こったときに周囲がすぐに妊婦であることを認識できるようにマタニティマークをつけておくと安心です。
妊娠初期でも重いものを持つことや長時間立ち続けることは避けたいところですので、そのような配慮を周囲に伝える意味でもマタニティマークの使用が役立ちます。
また、ずっと付けている必要もありません。
普段はカバンの内側につけておいて、体調の優れない時だけ表に出すなど必要に応じて使い分けができるとよいですね。
いつまでつける?
こちらも同様にいつになったら外してくださいというルールはありません。
妊娠後期になりお腹が大きくなって誰が見ても妊婦と分かるようになったら外すという方が多いようですが、他人から見ると意外と妊婦かふくよかな人か判断が難しいという意見もあります。
自分自身が必要だと感じ、周囲の配慮を必要とする間は、マタニティマークをつけ続けても問題ありません。
無料でもらえる!
楽天やAmazonなど大手ECサイトでもマタニティマークを購入することができますが、無料で手に入れる方法がいくつもあります。
【マタニティマークを無料で手に入れる方法】
- 自治体でもらう
- 鉄道会社でもらう
- 雑誌の付録でもらう
- 自作する
妊娠が分かったら役所へ妊娠届を提出する義務がありますが、その際に多くの自治体で母子手帳の交付とともにマタニティマークをもらうことができます。
国土交通省による鉄道駅バリアフリー推進事業の一環で、JRや各私鉄の主要駅などで配布していることがあります。
駅のホームでマタニティマーク啓発ポスターを目にしたことがある方も多いのではと思います。
希望する方はご利用の駅係員に問い合わせてみてください。
そのほか妊産婦向けの雑誌では定期的に付録としてマタニティマークが付いてきます。
気に入ったものがあれば付録を目当てに雑誌を購入してもいいですね。
創作意欲のある方は自作も可能です。
個人利用の場合は厚生労働省のホームページからダウンロードして自由に使うことができます。
なお営利目的での使用はできませんが、通販サイトでは「実費相当分」として販売もされており、500円~1,500円程度で購入できます。
まとめ
マタニティマークは、妊娠中の女性が周囲に妊娠を知らせ、その状態に配慮してもらうためのツールです。
妊婦自身と周囲の人々が共に思いやりと理解を持つことで、マタニティマークの真の目的を果たすことができます。
それは「幸せアピール」ではなく、妊娠中の女性が日常生活を安心して過ごすための一助となるためのものです。
思いやりを持って過ごしたいですね。