妊娠したらもらえる母子手帳ですが、いつどこでもらえるのでしょうか?
母子手帳の内容やどんなときに必要なのかなど、事前に把握しておくことで妊娠中の生活のイメージもつきやすくなります。
今回は、知っているようで知らない母子手帳のあれこれをご紹介いたします!
母子手帳とは
母子手帳という呼び方に馴染みがあると思いますが、正式には「母子健康手帳」といいます。
母子手帳とは妊娠中から乳幼児期にかけての、ママと子どもの健康に関する情報を一つの手帳で管理できるようにまとめたものです。
妊娠中の女性の体は目まぐるしく変化が起こっていて体調が不安定になりやすく、生まれた赤ちゃんも就学する6歳ごろまでは健康状態が変化しやすい時期です。
生まれた赤ちゃんの生涯にわたる健康の基盤はこの時期にできますので、母子手帳によって管理することは大変意義があります。
健診や予防接種などの記録を一冊にまとめることによって情報を一元管理できるだけでなく、サポートをしてくれる保健師などの担当の保健医療従事者が変わっても一目で経過を把握することができ、一貫性のある保健サービスを提供してもらうことができます。
また健康記録だけではなく子どもの成長に関することや折々の気持ちなどを書き込むことができるため、母子手帳を通してママとパパが子育てに対する気持ちを共有しやすくなります。
いつもらえる?
母子手帳は、病院で妊娠が確認できたらもらいにいきましょう。
妊娠したかも?と思ったら一般的には妊娠検査薬で確認し、陽性の反応が出たら病産院で正常妊娠かを確認します。
妊娠検査薬が反応するのは、次の生理開始予定日の1週間後くらいからです。
妊娠週数でいうと妊娠4週~5週頃にあたります。
妊娠検査薬はあくまでも「妊娠の可能性」を調べるためのものですので、陽性の反応が出たら必ず病産院を受診しましょう。
病院でエコー検査(超音波検査)により胎児の心拍と胎嚢(たいのう:赤ちゃんが入っている袋)が確認できれば妊娠が確定します。
胎嚢(たいのう)が確認できるのは妊娠5週~6週頃で、胎児の心拍を確認できるのは妊娠6~7週頃です。
【妊娠初期の妊娠の経過】
妊娠が確認できれば、医師か助産師さんから「母子手帳をもらってきて」と言われるはずですので指示にしたがいましょう。
どこでもらえる?
「病院でくれるわけじゃないの?」と思う方もいらっしゃるでしょうね。
母子手帳については「母子保護法」によって定められており、市町村が交付することになっています。
もらえる場所はお住まいの地域の市区町村の役所か保健センターで、これは自治体によって異なります。
母子手帳をもらう際に必要な持ち物や手続き方法も自治体によって異なりますので、事前に確認しておくようにしましょう。
もらい方
母子手帳をもらう際の大きな流れとしては次のようになります。
【母子手帳のもらい方】
- 妊娠を確認
- 妊娠届出書を提出
- 母子手帳をもらう
1)妊娠を確認
病産院で赤ちゃんの心拍が確認でき、正確な妊娠週数や出産予定日が分かったら母子手帳をもらいにいくよう病産院から指示があります。
なお指示のタイミングは病産院によって少し違うこともあります。
2)妊娠届出書を提出
妊娠が確認できたら、お住まいの自治体に「妊娠届出書」を提出します。
これは母子保護法によって「妊娠した者は速やかに市町村長に妊娠の届出をしなければならない」とさだめられています。
必要な持ち物は自治体によって違いますが、マイナンバー(個人番号)と本人確認書類のほか、妊娠を確認した病産院の診察券や印鑑などを求められる場合もあります。
3)母子手帳をもらう
妊娠届出の手続きが終わると、母子手帳がもらえます。
母子手帳のほかに妊婦健診の際に使える受診券や補助券などがもらえます。
そのほか妊娠出産から子育て期に役立つ情報や、お住まいの地域で行われている母親学級などの案内をしてもらえることが多いので、ぜひ活用していきましょう!
いつまでにもらえばいい?
母子手帳をもらいに行くように言われたら早いほうがいいのでしょうが、なかなか忙しくつい後回しにしがちかもしれませんね。
いつまでにもらいにいけばいいのでしょうか?
母子手帳はとくにいつまでにもらわなければいけないと決まっているわけではありません。
しかし次の妊婦健診までに、母子手帳と一緒にもらえる「妊婦健康診査受診表」を受け取っていないと助成が受けられなくなりますので、遅くとも妊娠11週(妊娠3ヶ月の間)までにはもらいにいくようにしましょう。
内容
母子手帳といえば「おなかの赤ちゃんの成長を記録したり健診の記録をつけるもの」というイメージがあると思いますが、そのほか妊娠中のママの健康管理にも役立つだけでなく、赤ちゃんが生まれてからの健康を一元管理できたり、節目ごとに我が子に向けたメッセージが書ける欄があるなど、この一冊があれば妊娠中から幼児期までの健康管理と成長日記を兼用することができます。
また記録をつけるだけでなく、今後の健診の予定や受けられる予防接種についてのスケジュールなどもわかるため、受け忘れ防止にもつながります。
母子手帳は全国一律で同じ内容なわけではありません。
母子手帳の様式は厚生労働省令で定められており、全国共通部分の「省令様式」と、各市町村のオリジナリティをだせる「任意様式」とがあります。
【母子手帳の全国共通部分(省令様式)】
- 妊娠中の経過
- 乳幼児期の健康診査の記録
- 予防接種の記録
- 乳幼児身体発育曲線 など
省令様式では、妊婦健康診査や乳幼児健康診査などの各種健康診査の記録や予防接種の接種状況の記録、保健指導を受けた際の記録などを一つの手帳で管理できます。
そのため引っ越しをするなどして担当する保健医療従事者が変わっても、これまでの記録を参照して継続性のある指導やサービスができるといったメリットがあります。
【母子手帳の市町村によって内容が違う部分(任意様式)】
- 日常生活上の注意
- 子育て上の注意
- 妊産婦・乳幼児の栄養の摂取方法
- 予防接種に関する情報
任意様式では、妊娠中におこりやすい病気や生活の中で気をつけるポイントなどについて記載されています。
育児についても保護者に心得てもらいたい、子どもの成長に合わせた育児のポイントや必要な知識について記されているため、信頼のできる情報源として活用できます。
各市町村の判断で独自の制度などを具体的に記載することができるため、子育てに関する悩みを相談できる窓口の紹介など、より地域に密着した内容になっています。
妊娠中から出産
母子手帳がもらえるのは妊娠7週くらいからになります。
母子手帳をもらったら、妊婦さんの基本情報を記入しましょう。
母子手帳をもらってから出産するまでの期間は、妊婦さん自身とおなかの赤ちゃんについて以下のような情報を記入していきます。
【母子手帳の内容(妊娠中から出産)】
- 妊婦の健康状態
- 身長や普段の体重、既往歴や常服薬、飲酒や喫煙習慣、過去の妊娠、職業と生活環境
- 妊婦自身の記録
- ひと月ごとに自身の体調や疑問点、その時の気持ちなどをフリー形式で記入
- 妊娠中の経過
- 妊婦健診での子宮低長、腹囲、体重、血圧、浮腫、尿蛋白、尿糖など
- 各種抗原抗体検査の記録
- 子宮頸がん検診や梅毒血清反応など
- 母親(両親)学級の受講記録
- 受けた科目など
- 妊娠中と産後の歯の状態
- 出産の状態
- 分娩方法や分娩経過、所要時間や出血量など
- 出産時の児の状態
- 体重、身長など
- 出産後の母体の経過
- 子宮復古状態や悪露
- 出産後の母親自身の記録
- 初めてお乳を飲ませたのは生後何時間後か、入浴は産後何日後かなど
妊婦健診などの記録だけではなく、妊娠中の体調の変化を見逃さないように工夫された内容となっています。
歯の状態については、むし歯や歯周病などは妊娠中に悪化しやすく、早産などの原因にもなり得るため定期的なチェックがかかせません。
新生児期から乳児期
生後28日未満を「新生児」、満1歳までを「乳児」と区分します。
基本的には赤ちゃんメインの内容になりますが、ママの精神状態などについての質問項目もあり、保健指導に活かされます。
【母子手帳の内容(新生児期から乳児期)】
- 経過記録
- 日齢ごとの体重や哺乳力、黄疸の有無など
- 検査の記録
- 先天性代謝異常検査や新生児聴覚検査など
- 赤ちゃんの様子
- お乳をよく飲むかなど質問形式
- ママのありがちな悩みについて
- 子育てについて相談できる人はいますかなど質問形式
- 便色の記録
- 健康診査の記録
- 身長・体重・栄養状態・栄養法など
赤ちゃんの様子について「おへそはかわいていますか」「寝返りをしたのはいつですか」など、具体的な質問項目があり、保健指導につなげやすい内容となっています。
ママについても、「子育てについて不安や困難を感じることはありますか」「離乳食の心配」など、具体的な質問項目があり保健指導の際に必要なサポートを提供しやすくなっています。
赤ちゃんの便色の確認は、胆道閉鎖症などの病気の早期発見につながります。
幼児期
満1歳からを「幼児」と区分し、就学する6歳まで記録できるようになっています。
基本的には乳児期までと同じく、「1歳児健診」など検診のたびに記入できるようになっていて、年齢に合わせた質問項目があります。
【母子手帳の内容(幼児期)】
- 健康診査の記録
- 身長・体重・食事の回数、目や歯の状態について
- 子どもの様子
- ひとり歩きをしたのはいつかなど質問形式
- ママのありがちな悩みについて
- 子育てについて気軽に相談できる人はいますかなど質問形式
- 乳児身体発育曲線
幼児期は6歳になるまでおよそ1年ごとに健診があります。
両親から誕生日のメッセージを記入する欄もあるので、そのときの気持ちや将来へ向けた我が子へのメッセージなどを書き記しておきたいですね。
乳児身体発育曲線は、身長や体重などについて、グラフに記入し平均値と比べられるようになっています。
活用のポイント!
母子手帳は単なる記録媒体としてだけではなく、妊娠してから子育ての間に必要な知識や情報などがつまっており、ぜひ活用していきたいですね。
【母子手帳活用のポイント!】
- 記録を一元管理
- 継続性のある保健サービスを受ける
- 早期発見・早期治療につなげる
- 健診などのスケジュール管理
- 成長日記
- パートナーや保健医療従事者とのコミュニケーションツール
妊婦健診や乳幼児健診、小児科や歯科を受診する際には必ず持参して必要に応じて記入してもらいましょう。
健診や診察を受けてもそれぞれの結果が独立していると、「あれ、前回の数値はいくつだったかな。。。」となりがちですが、母子手帳はすべての結果を一つにまとめられますので記録を一元管理することができます。
保健指導を受ける際には、母子手帳があることによって担当する保健医療従事者が変わっても一から情報を確認する必要がなく、継続性のある保健サービスを受けることができます。
母子手帳の記録は保健指導の際に役立つばかりでなく、予防接種の公的記録として就学後も活用できますので紛失には注意してください。
また、そのとき感じている気持ちや不安なことなどを自由形式で書ける欄もたくさんありますので、健康状態のメモや子育て日記として活用できる側面もあります。
お子さんの誕生日にメッセージが書ける欄もありますので、将来子どもが大きくなった時に楽しく見返せるようにオリジナルのものを作りましょう。
妊娠中から出産
妊娠中は急に体調を崩して受診することもあるため、妊娠中に外出するときは必ず携帯しましょう。
妊娠中の不安やおなかの赤ちゃんへのメッセージを記入することで、パートナーも実感が湧きやすくコミュニケーションツールとしても活用できますので、一緒に出産・子育てに向けた準備をしていきたいですね。
また、妊娠中に必要な知識や情報が記載されていますので、信頼のできる情報源としても有用です。
妊娠中に注意したい症状について具体的にかかれていますので、そのような症状を感じたらすぐに医療機関を受診するなど、早期発見・早期治療につなげることができます。
【妊娠中に注意したい症状の一例】
- 性器出血
- がんこな便秘
- ふだんと違ったおりもの
- イライラや動悸がはげしい
出産時や出産後の母体の経過も記録できますので、その後の保健指導につなげることができます。
新生児期から乳幼児期
生まれてからも、出産時や誕生日などの折々にその時の気持ちを書いたり、子育て中のエピソードなどを書くのもおすすめです。
月齢ごとにおこりやすい問題や病気などについて、例えば「ひとみが白く見えたり、黄緑色に光って見えたりすることがありますか。」などといった質問項目がありますので、保護者が思いもよらなかった異常をいち早く発見できるかもしれません。
乳幼児期は予防接種や健診の回数が多いため、何を受けたか分からなくなるかもしれません。
母子手帳を活用することで、受け忘れ防止にもつなげることができます。
代理で受け取ることは可能?
母子手帳をもらいに行く時期というのは、妊娠初期で人によってはつわりがはじまり体調がすぐれず、なかなか受け取りに行けないこともあります。
つわりが落ち着いてから行こうと思っていたら妊娠週数がかなり進んでしまっていた、なんて可能性もあります。
妊婦さん本人がやむを得ず母子手帳をもらいにいけない場合は、パートナーやご両親などが代理で受け取りにいくこともできます。
代理で受け取りに行く際に必要な書類は、妊婦さんの本人確認書類のほか委任状などが必要な場合もありますので、詳しくはお住まいの自治体へご確認ください。
妊娠の届出および母子手帳交付の際には、多くの自治体で保健師など専門職による面談や相談を行い、情報提供とともに母子手帳の使い方などの説明があります。
母子手帳を代理の人が受け取りに行った場合、後日改めて電話等でヒアリングがあることもあります。
まとめ
母子手帳は妊娠中のママと幼い子どもの健康管理に重要なだけではなく、妊娠や育児に関するお役立ち情報が得られる情報源として、成長記録をつけて後から読み返して楽しい成長日記として、工夫しだいで活用の幅が広がります。
ぜひお子さんへのメッセージをたくさん書いて、将来子どもが大きくなったときに渡してあげたいですね。