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国によってどう違う?日本と海外のNIPT

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author:DNAサイエンス
世界におけるNIPT

新型出生前診断(NIPT)とは、妊婦の血液中に含まれる胎児由来のDNAを分析することによって、おなかの赤ちゃんの染色体異常について調べる検査のことです。

2011年に香港で導入されて以来、NIPTは世界中に広がり現在では60か国以上で利用可能です。

NIPTは確定診断ではなくあくまでスクリーニング検査という位置づけですが、その検査精度の高さから従来の母体血清マーカー検査などに代わる新たな選択肢となりつつあります。

世界での普及率についてはバラつきがあり、国家政策として進めている国があれば、文化的・経済的な理由であまり利用されていない国もあります。

特に、「胎児の染色体異常を調べる検査」という特性上、性別判定や中絶といった課題とは切っても切り離せません。

今回は、日本、アメリカ、中国、イギリスでのNIPTの実施状況についてご紹介いたします。

日本のNIPT

日本におけるNIPT

日本では2013年より一部の病産院で導入が始まりましたが、その頃はまだ情報提供も積極的には行われておらず、条件も厳しかったため一部の妊婦しか受けることができませんでした。

条件とは35歳以上であること、染色体異常のあるお子さんを妊娠もしくは出産したことがあるなど、高リスクの妊婦のみを対象としていました。

2023年現在では検査技術の向上やデータの蓄積なども受けて日本全国の多くの病産院やクリニックでNIPTを実施しており、対象者の条件や検査項目などは実施施設により異なりますが、より多くの妊婦がスクリーニング検査の一つとしてNIPTを選択できるようになりました。

検査費用は実施施設や検査項目によって大きく異なりますが、保険適用外のため一般的に10万円~25万円程度と高額です。

日本では胎児の染色体異常を理由に中絶することは認められていませんが、母体の健康や経済上の理由などを名目に実行されています。

アメリカのNIPT

アメリカにおけるNIPT

アメリカは2011年にNIPTを最初に導入した国の1つで、現在では広く一般的に行われており妊婦の25~50%がNIPTを受けていると言われています

米国産科婦人科学会による最新のガイドラインでは、リスクレベルに関係なくすべての妊婦にNIPTを提供することが推奨されています

ほぼすべての民間保険会社が妊娠初期のスクリーニング検査(母体血清マーカー検査、NT、35歳以上など)で高リスクと判定された人に対するNIPTを保険適用としており、さらに州によっては高リスクでない妊婦も対象に公的医療扶助制度を実施しています。

中絶に対する考え方や方針は国によって大きく異なり、アメリカではほとんどの州で妊娠24週目までの妊娠中絶は合法ですが、一部の州では胎児がダウン症(21トリソミー)を含む遺伝性疾患と診断された場合の中絶を禁止しているため、中絶を前提で検査を受ける人に対するNIPTの受検に影響を与える可能性があります。

中国のNIPT

中国では2011年からNIPTが導入されています。

2016年まで中国では一人っ子政策が実施されており、子どもは老後の支援とケアの源とみなされ伝統的に男児の出産が強く望まれています

その結果、2008年の出生性比は「男児:女児=120.56:100」であり、男児の方が2割ほど多く生まれています。

日本では「男児:女児=93~95:100」程度ですので、中国の男児出生率がいかに高かったかが分かります。

そのような背景もあり中国では胎児の性別情報を開示することを法律で禁止していますが、秘密裏に医療従事者が性別情報を提供しているとの違反報告は後を絶ちません。

そのため現在では胎児の性別を知るために、妊婦の血液サンプルを香港へ輸送してNIPTを受けることが一般的に行われています

なお、香港でも胎児の性別判定は違法です。

一人っ子政策が廃止された2016年以降は、30代後半~40代の高齢出産に当たる女性の多くが二人目の子どもを持ちたいと考えており、NIPTの需要が高まっています。

中国では、障害のある子どもの世話は家族全体の安全を脅かす可能性があり、国の産業化の障害とする考え方が一部にあるため、もし出生前に障害が発覚したら8割の人が中絶を選択すると回答したとの調査もあります。

それがたとえ口唇裂などの出生後に手術で矯正できるものだとしても中絶の対象となったり、孤児院へ送られることもあります。

2011年から2014年まではNIPTを管理する規制がなく自由に行われていました。

そのため、適切な遺伝カウンセリングが行われなかったり、違法なはずの性別判定が行われたりと倫理的な問題も生じていました。

2016年からは国家衛生家族計画委員会のガイドラインに沿って運用されています。

イギリスのNIPT

イギリスにおけるNIPT

ヨーロッパでは出生前スクリーニング検査に対しての国家政策が進んでおり、多くの国で国民医療制度の元で妊娠初期のスクリーニング検査が受けられます

NIPTに関しても多くの国では出生前スクリーニング検査で高リスクと判定された妊婦に対してNIPTを提供しており、ベルギーやオランダのようにリスクレベルに関係なくすべての妊婦に提供されている国もあります。

イギリスでは従来より出生前スクリーニング検査が積極的に行われており、国としての取り組みで全妊婦に実施されていました。

その後NIPTの出現で、スクリーニング検査で高リスクと判定された妊婦に対しての二次検査として、NIPTが提供されるようになりました。

2021年からはNIPTとその後の確定検査が無料で受けられるようになり、イギリスでは多くの妊婦がNIPTを受検しています。

日本では認められていませんが、イギリスでは胎児の異常を理由とした中絶は合法であり、費用も国の負担で実施されます。

まとめ

このように、NIPTは検査精度の高いスクリーニング検査として世界各国で導入が進んでいる一方で、性別に基づく中絶が蔓延している地域や胎児の異常を理由とした中絶を認めていない地域などでは課題も多く残っています

また、NIPTによってダウン症やその他の染色体異常を持つ人に対する偏見や差別、中絶率の増加を招くといった議論もつきません

出生前診断は必ずしも受けなくてはならないものではありません。

大切なことは、検査を受けたい人が受けられる環境整備と、フォロー体制を含む正しい情報の提供によって、ご本人たちが納得のできる決断ができることではないでしょうか。


DNAサイエンスのNIPT

私たちDNAサイエンスは2022年よりイルミナ社(米国)と提携して、「NIPT(新型出生前診断)」の提供を行っております。

イルミナ社はDNA検査機器メーカーとして世界最大のシェアを持つトップ企業であり、同社の技術は遺伝子変異や遺伝子機能の解析などの研究に広く使用されています。

日本では現在、妊婦の約3.5%がNIPTを受けていると言われており、その割合は年々増加しております。

一方欧米では妊婦の約65〜95%がこの検査を受けているというデータもあり、NIPTが一般的な検査となっています。

日本では検査費用が約15〜45万円と高額ですが、新型出生前診断(NIPT)の認知度は上がってきており、今後は日本国内でも更に普及していくことでしょう。

私たちがアメリカの検査機関に検査を依頼する理由は、検査実績数の桁が圧倒的に違うことにあります。

陰性・陽性の判定は、CAP(米国病理学会)/CLIA(臨床検査改善修正法案)認定を受けた検査会社の専門スタッフが行います。

その結果、陰性・陽性判定の精度は、非確定検査としては99%以上という高精度を実現しています。


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