正常なおりものは無色や乳白色をしていますが、体調の変化やなんらかのトラブルによって茶色や黄緑色のおりものが出ることがあります。
生理前後でもないのに茶色のおりものが出ると不安になるかと思いますが、生理が関係ない時期でも排卵などによっておりものが茶色や茶褐色になることがあり、一概に病気とはいえません。
ここでは生理周期に合わせておりものがどのように変化するのか、どのようなおりものがあると病気の可能性があるのかなどについてご紹介していきます。
おりものとは
おりものとは女性の膣(ちつ)や子宮などから出る分泌物のことで、はがれ落ちた古い細胞や汗腺からの老廃物なども混ざっています。
生理のようにおりものの色や量、においなどは個人差があり、女性の体にとって大切な役割を担っています。
【おりものの役割】
- 膣内の環境を守る
- 受精をサポートする
膣内のうるおいを保つことで粘膜を守り、菌が繁殖したり子宮内への侵入を防いでいます。
また排卵の時期になるとおりものは量が増えてとろみが出ますが、これは精子を受け入れやすいようにサポートするためです。
生理周期と正常なおりものの変化
生理周期はエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)という2種類の女性ホルモンのほか、脳下垂体から分泌されるホルモンなどが関連しあっています。
生理周期は各女性ホルモンの分泌量が多い時期をとって4つの期間に分けられます。
【生理周期】
周期 | 特徴 | 時期 |
---|---|---|
卵胞期 | 生理が終わって心身ともに調子が良い時期 | 生理終わり~排卵までの約1週間 |
排卵期 | 妊娠できるタイミング | 排卵日の前後数日 |
黄体期 | 生理前のモヤモヤする時期 | 排卵から生理開始までの約2週間 |
生理 | 生理中 | 約1週間 |
おりものも生理周期と合わせて性質や量が変化します。
生理が終わってから排卵日にかけておりものの量は増えていき、排卵日を過ぎるとその量は減っていきます。
【生理周期とおりものの変化】
周期 | おりものの量 | おりものの状態 |
---|---|---|
卵胞期 | ・生理後が最も少ない ・排卵に向けて増えていく | ・さらっとしている |
排卵期 | ・最も多い | ・透明でとろみがある ・よく伸びる |
黄体期 | ・減っていく | ・どろっとしている ・粘り気がある ・白い |
おりものは通常、透明・半透明・乳白色・白濁したような色をしており、ショーツにつくと黄色っぽく見えることもあります。
また生理前後や排卵の時期に茶褐色やピンク色のおりものが出ることがありますが、これは血が混ざったもので異常ではありません。
生理周期によって状態も変化しますが、水っぽい・卵白みたい・粘り気があるようなおりものであれば正常です。
生理が来るサインのおりもの
生理前はむくみやすかったり肌荒れしやすかったり、女性にとっては心身共に不安定になりやすい時期ですよね。
生理が来るサインのおりものは、どろっと白く濁ったような色をしていて、ショーツにこびりつくと黄色くみえたりします。
普段はあまり臭わないおりものですが、生理前になるとニオイが強くなることもあります。
排卵日のおりもの
排卵とは約1ヶ月に1回卵子が卵巣から放出されることをいいます。
妊娠するためには卵子が排卵されたタイミングで精子が女性の体内にいる必要があります。
卵子の寿命はおよそ1日、精子の寿命はおよそ3日ですので、排卵日の3日前ぐらいから性行為をすると、妊娠する可能性が高くなります。
一番妊娠しやすい日は生理周期が28日の女性の場合では、生理が始まった日から約14日後になります。
生理周期には個人差があるうえに体調やストレスなどでもズレてしまいますので、排卵日を確実に予測することは難しいといえますが、排卵日が近くなるとおりものの変化に気づくかもしれません。
生理が終わりさらっとしていたおりものの量が増えて粘り気も強くなり、ショーツについたときに糸を引くように伸びるようになると排卵が近いサインです。
この変化は、精子をスムーズに受け入れて妊娠しやすくするためのものです。
排卵の時期に「排卵出血」と呼ばれる少量の出血があると、おりものに混ざり茶褐色になることもあります。
排卵後は量が減っていきどろっとした状態になります。
妊娠初期のおりもの
妊娠するとホルモンバランスの変化で女性の体にはさまざまな影響があらわれます。
妊娠していなければ生理が近づくにつれておりものの量は減っていきますが、妊娠するとおりものの量は多いままで黄色っぽいこともあります。
おりものの異常
おりものの異常は、量が多い、色が黄色や黄緑色などいつもと違う、生臭いニオイがする、白いかたまりや膿のような状態である、かゆみを伴うなどの変化を示します。
原因としてはクラミジアや淋菌などの性感染症や、子宮や膣内部の病気のほか、単にストレスや体調不良による免疫力の低下といった可能性もあります。
ご自身の普段のおりものの状態を把握しておくと、病気や体からのSOSのサインにいち早く気づけるかもしれません。
茶色っぽい、ピンク色
血が混ざったおりものは茶色っぽい、もしくはピンクっぽい色をしています。
生理前後や排卵出血による原因のほか、子宮膣部びらんや子宮頸管ポリープによって血が混じることがありますが、これらはあまり心配のない出血です。
一方で子宮頸がんや子宮体がんなど治療が必要な疾患によって茶色いおりものが出た場合でも、初期は痛みがなく無症状のことも多いため注意が必要です。
生理が重い人や月経過多の場合は一度検査を受けてみたほうが良いかもしれません。
黄色いおりもの
クラミジア感染症や淋病などの性感染症によっておりものが黄色や淡い緑色、黄緑色になることがあります。
クラミジアは性感染症の中で最も多く、下腹部痛や発熱といった症状のほか、おりものは色の変化や量の増加、悪臭がすることもありますが、特に変化がない場合もあります。
妊婦がクラミジアに感染していると流産や早産の原因となったり、おなかの赤ちゃんが結膜炎や肺炎になる可能性もあります。
淋病もよくある性感染症の一つで、クラミジアと同様におりものの色が黄色かったり、量が増えたり、悪臭がしたりしますが、無症状であるケースも多くあります。
黄色くて泡状のおりもの
トリコモナス原虫に感染して膣トリコモナス症になると、黄色や黄緑色っぽくて泡立ったおりものが出ることがあります。
生臭い悪臭がしたり強烈なかゆみ、刺激感や灼熱感を感じることもあります。
トリコモナスは性交渉で感染しますが、原虫が原因のため下着やタオル、お風呂の椅子や浴槽、便器などでも感染します。
症状が特にないこともあり、感染に気づかないまま卵管の炎症などが悪化すると不妊や流産の原因にもなります。
灰白色
膣内で雑菌が増えると灰白色で魚が腐ったような悪臭のあるおりものが出ることがあります。
この細菌性膣症は洗いすぎや性交渉などにより、膣内の乳酸菌が減り自浄作用がなくなることが原因の一つとなります。
細菌性膣症を放置しているとかゆみや炎症の原因となり、そのほかの性感染症にもかかりやすくなります。
白くてポロポロしている
膣カンジダ症に感染すると白くてポロポロとしたカッテージチーズ状のおりものや、クリーム状のおりものが出ます。
激しいかゆみや灼熱感があり、性交時に痛みも感じます。
膣カンジダはカンジダという誰でも持っている常在菌が異常繁殖することで発症し、体調不良やストレスなど免疫力の低下や抗生物質の使用、妊娠や出産によるホルモンバランスの変化などが原因となります。
おりものの量が多いと病気?
人と比較することがないためおりものの量が多いか少ないかの判断は難しいところですが、おりものシートでカバーできる量なら問題ないでしょう。
特に生理が終わってから1週間後あたりは量が増えますので、ご自身の生理周期とも照らし合わせてみてください。
ただし、いつもと違う色をしていたり嫌な臭いがあるときは感染症などのトラブルも考えられますので一度検査してみることをおすすめします。
量が多いだけで他に異常がなければ子宮膣部びらんの可能性もあります。
子宮膣部(しきゅうちつぶ)びらんは子宮口の周りの粘膜が炎症して赤くみえる状態のことで、ホルモンの作用による生理的なものなので心配いりません。
おりものが臭う
基本的ににおいはほとんどありませんが、膣内にいる乳酸桿菌という乳酸菌の影響で酸っぱいようなにおいがすることもあります。
生理前や生理後は経血の影響で血が混ざったようなニオイを感じるかもしれません。
悪臭があるときは、まずは衛生状態を確認しましょう。
締め付けのあるデニムや通気性の悪いショーツなどによってムレて湿度が高い状態が続くと、雑菌が繁殖して生臭いニオイがします。
おりものシートやタンポンの長時間使用も悪臭の原因となりますのでこまめに交換するようにしましょう。
それでも嫌な臭いがするときはなんらかのトラブルが考えられます。
おりものでかゆみがある
ショーツの擦れによる刺激や、ムレによる雑菌の繁殖によってかゆみがでることがあります。
放置すると膣が炎症を起こす可能性もありますので注意が必要です。
おりものがついたショーツはすぐに交換したりおりものシートを活用するなどして、常に清潔を保つようにしましょう。
まとめ
おりものの変化は感染症によるもののほか、風邪などの体調不良やストレスなどによって免疫力が低下し雑菌が繁殖したことでもおこります。
そのまま放置すると子宮や卵管などでも炎症を起こし不妊や流産の原因にもなりますので、色や臭いに異常を感じたら早めに婦人科を受診するようにしてくださいね。