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染色体異常とは

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author:DNAサイエンス
染色体異常の概念

出産年齢の高年齢化が進んでいる中、胎児の染色体異常について気になる方も多いのではないでしょうか。

このコラムでは、染色体異常とはどういうものか?起こる原因は何なのかといった基本的な情報について分かりやすく解説しています。

染色体異常

染色体の構造

染色体異常とは、染色体の数や構造に異常が生じた状態を指します。

染色体は遺伝子の収納箱のようなもので、遺伝子にはどの細胞でどのようなタンパク質を作るのかという設計情報と、それを管理・制御するプログラムが書き込まれています。

私たちの身体はあらゆる種類のタンパク質からできており、筋肉、皮膚、髪の毛などはもちろん、酵素を作る元にもなります。

酵素は体内のさまざまな化学反応を促進し、生命維持や代謝活動を円滑に行うための重要な役割を果たしています。

染色体異常があると、遺伝情報の一部が失われたり、余計に複製されたり、異なる染色体に組み込まれることで、健康や発育に影響を及ぼします。

【染色体異常による問題】

  • 先天性疾患
  • 身体的または知的発達の遅れ
  • 流産や死産

先天性疾患

生まれつき持っている病気のことを先天性疾患といい、心臓や消化器系の異常、口唇口蓋裂、多指症などが多く見られます。

身体的または知的発達の遅れ

出生後に身体的または知的な発達の遅れが見られることがあり、特に発育不全は胎児期から続く傾向にあります。

運動機能の発達遅延や行動面の問題、学習障害などが起こる可能性があります。

主な染色体異常の種類

染色体異常には、「染色体の数に異常」がある場合と、「染色体の構造に異常」がある場合があります。

染色体の数に異常があるほとんどの場合は遺伝しませんが、染色体の構造に異常がある場合の一部では遺伝する可能性が高くなるものがあります。

これには両親には染色体異常の症状がない「保因者」という場合も含まれます。

染色体異常は、1番~22番までの「常染色体」と、23番の「性染色体」のすべてで起こり得ます。

常染色体の異常では、症状が重くなる傾向にあります。

性染色体の異常では、不妊やその他の症状があるものもありますが、ほとんど症状がない場合もあります。

トリソミー、モノソミー

ダウン症
ダウン症の染色体

染色体は通常2本で1セットですが、数が増えたり減ったりするタイプを「数的異常」といいます。

染色体が3本ある場合を「トリソミー」、染色体が1本しかない場合を「モノソミー」といいます。

常染色体には1番~22番までの番号が割り振られていますが、この何番目の染色体の数に異常があるかによって症候群名が付けられており、症状も違ってきます。

21番目の染色体が3本ある場合を「21トリソミー(ダウン症)」といいます。

生まれてくる赤ちゃんの中で特に多い染色体異常は21トリソミー(ダウン症)18トリソミー13トリソミーの3つで、染色体異常のうちおよそ7割を占めています。

23番目である性染色体の数的異常は、染色体異常のうちおよそ13%を占めます。

すべての染色体で数的異常は起こりますが、染色体の大きさが大きく(番号の小さい染色体)、保有している遺伝子の数が多いほど生きていく上で重篤な問題になりますので、ほとんどは流産してしまいます。

21番染色体は、他の染色体と比べて保有している遺伝子の数が少ないため異常があっても無事に生まれる確率が高くなります。

これが、染色体異常の中でダウン症が多い理由です。

構造の異常

染色体の構造異常
染色体の重複

染色体の一部に異常がある、形が変わるタイプを「構造異常」といいます。

染色体の一部が欠けていたり(欠失)、2つの染色体の一部もしくは全体が切断してつなぎ変わってしまったり(転座)、染色体の一部に繰り返しが起こっていたり(重複)、1つの染色体に2カ所の切断が起こりひっくり返ってしまっていたりと(逆位)、さまざまな構造異常が起こり得ます。

微小欠失

微小欠失症候群とは、染色体上のごくわずかな欠失によって引き起こされる症候群のことです。

通常の染色体検査では確認できないほど小さな欠失で、精密な遺伝子検査(FISH法やマイクロアレイ解析など)によって発見されます。

何番目の染色体のどの領域に微小な変化が起こるかによって特徴的な症状は違いますが、成長障害や発達遅延、先天奇形などを伴いやすくなっています。

最近では出生前の検査が可能になってきていますが、もし染色体の微小な変化を見つけたとしても、その症状の重症度までは分からず、また根本的な治療法はないため合併症に対する対症療法が中心となります。

先天異常をもって生まれた赤ちゃんの原因のうち約10%は染色体の微小な変化が関係しています。

染色体異常が起こる原因

細胞分裂
細胞分裂

染色体異常の多くは突然変異によって起こり、その主な原因は細胞分裂時のエラーです。

その多くは親から子へ遺伝するわけではなく、たまたま発生します。

染色体の「数の異常」は母親由来が多く、「構造の異常」は父親由来となることが多いことが知られています。

数的異常の原因

卵子や精子が形成される際の減数分裂や、受精後の細胞分裂過程で、染色体が正しく分配されない「不分離」が発生すると、染色体の数の異常(トリソミーやモノソミー)を引き起こします。

母親の年齢が上がるにつれて、卵子の分裂エラーのリスクが高まるため、高齢出産では染色体の数的異常(トリソミーやモノソミー)の発生率が増加します。

構造異常の原因

染色体の構造異常が起こる要因は、紫外線や化学物質などの外部からの要因よりも、DNAが分裂・増殖する際のエラーによるものが多く、精子形成にはこのDNA複製が思春期以降ずっと繰り返されているために、男性の年齢が高くなるほど染色体の構造異常が起こりやすくなります。

染色体の構造異常があるけど症状はないという人のことを「保因者」といいます。

両親のどちらかが保因者の場合、子どもに遺伝する可能性があります。

また、流産が起こる可能性も高くなるため、不育症で受診した際に実は保因者だったと分かる場合もあります。

染色体異常を調べる検査

染色体異常を調べる検査には、生まれる前と生まれた後の検査があります。

出生前の段階では、妊婦健診で受ける「エコー検査」や、任意で受ける出生前診断として新型出生前診断(NIPT)羊水検査などがあります。

しかし、先ほどもご紹介したように、生まれる前にすべての先天異常を調べられるわけではありません。

出生前診断とは、本来は赤ちゃんが生まれる前に病気や障がいを調べて分娩の準備や生まれた後の治療、育児の環境づくりにつなげるためのものですが、それぞれのカップルが悩んだ結果、中絶を選択する例が多いのも事実です。

出生前診断は受けるメリットもデメリットもあります。

出生前診断を検討する際には、なぜ検査を受けたいのか?検査結果をどう判断するかなどをカップルでよく話し合っておく必要があります。

出生後の検査としては、見た目の特徴などから何らかの疾患を疑い、血液検査をする場合などがあります。

まとめ

染色体のイメージ

染色体異常とは染色体の数や構造に異常が生じた状態を指し、染色体異常があると、遺伝情報の一部が失われたり、余計に複製されたり、異なる染色体に組み込まれることで、健康や発育に影響を及ぼします。

染色体異常の多くは突然の変化などで生じるもので、一部を除いては両親のどちらかに原因があったというわけではありません。

また、同じ疾患名の染色体異常でも症状の現れ方や重症度は人それぞれで、程度が大きく異なる場合もあります。

何かあなたやあなたのご家族について遺伝的な心配事があり妊娠に不安がある。。。という方は、遺伝カウンセラーに相談してみてはいかがでしょうか?

正しい知識を身に付けることで、不安の軽減や気持ちの整理につながることを願います。

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