
出産が近づくにつれて、体の変化に戸惑いや期待を感じる機会が増えます。
特に「前駆陣痛」が現れると、「これはもう出産が始まるの?」と不安に思う妊婦さんも多いのではないでしょうか。
前駆陣痛は、本格的な陣痛が始まる前に体が出産に備えて準備を整えているサインです。
しかし、痛みや収縮の感じ方には個人差があり、どう過ごせばよいのか迷うこともあるでしょう。
このコラムでは、前駆陣痛と陣痛の違いをはじめ、前駆陣痛が始まった際の過ごし方や、病院へ行くタイミングについて解説します。
不安を少しでも和らげ、出産に向けて安心して備えられるようお手伝いします。
前駆陣痛とは?
前駆陣痛(ぜんくじんつう)とは、出産が近づいていることを示す兆候の一つで、本格的な陣痛が始まる前に感じる子宮の収縮やお腹の痛みを指します。
【前駆陣痛の特徴】
- 不規則な痛み
- 痛みの間隔が不規則で、強さや持続時間も一定ではない
- 軽い痛み
- 生理痛に似た軽い痛みや、お腹の張りを感じる
- 自然に治まる
- 痛みはしばらくするといったん落ち着く
前駆陣痛の痛みは規則的ではなく、間隔や強さが一定しないのが特徴です。
例えば、夜中に痛みが強まる一方で、日中は痛みを感じないこともあります。
また、痛みはずっと続くわけではなく、治まった後に再び痛みが起こるのを繰り返します。
本陣痛との違い
陣痛(本陣痛)は、規則的に起こる子宮収縮を指します。
不規則だったおなかの張りや痛みの間隔が10分以内になったら本格的な陣痛の始まりです。
【前駆陣痛と本陣痛の違い】
特徴 | 前駆陣痛 | 本陣痛 |
---|---|---|
痛みの規則性 | 不規則で一定でない間隔 | 規則的で徐々に短くなる |
痛みの強さ | 軽度で我慢できる程度 | 強烈で徐々に強くなる |
痛みの場所 | 下腹部中心で範囲は限定的 | 下腹部から腰に広がる |
子宮口の変化 | 変化はなく硬い | 軟らかく徐々に開き分娩につながる |
痛みの感じ方は人それぞれ違うため一概には言えませんが、前駆陣痛は軽度から中程度の痛みで、生理痛に似た感覚や下痢のような痛みを伴うことが多いです。
一方で、本陣痛は強烈で、徐々に痛みが増し下腹部全体に広がるのが特徴です。
どこが痛い?頻度は?
前駆陣痛の痛みは下腹部中心で局所的に感じられ、安静にすると痛みが和らぐのが特徴です。
その痛みの頻度は不規則で、数分から数十分、場合によっては数時間続くこともあります。
一方、本陣痛の痛みは下腹部全体、腰、肛門付近に広がり、強い痛みを伴います。
痛みは徐々に強くなり、安静にしても軽減しません。
また、本陣痛では痛みが規則的に起こり、10分以内の間隔で発生します。
間隔はさらに短くなり、分娩に向けて進行していきます。
前駆陣痛はいつから始まる?

出産の正常な時期である正期産は、「妊娠37週から41週6日」までを指し、この期間での出産が母子ともにリスクが少ないとされています。
陣痛が始まる時期には個人差がありますが、妊娠37週0日(正期産)に入ると、いつ陣痛が始まっても不思議ではありません。
前駆陣痛は妊娠36週から40週頃に始まることが多いですが、早い場合は妊娠28週頃から感じる場合もあります。
どのくらい続くのか
前駆陣痛はお産が近づいているサインですが、すぐに陣痛が始まるわけではありません。
前駆陣痛から本格的な陣痛までの時間には個人差が大きく、数時間で進む場合もあれば、数日かかることもあります。
前駆陣痛から出産までの流れ
前駆陣痛の後、出産の始まりには3つのサインがあります。
【出産のサイン】
- おしるし
- 陣痛
- 破水
おしるしとは、おりものに少量の血が混ざる現象で、出産が近いサインとされています。
現れ方や気づくタイミングには個人差があります。
一般的には「おしるし→陣痛→破水」という流れですが、必ずしもこの順序通りとは限りません。
おしるしがない場合や、陣痛より先に破水がくる場合もあります。
また、おしるしがあったからといってすぐに出産が始まるわけではなく、数日間何も起こらないこともあるため、あくまで目安として捉えましょう。
出産の本格的な始まりは「陣痛」か「破水」です。
どちらかの兆候があれば、医療機関へ速やかに連絡してください。
前駆陣痛から本陣痛への移行
前駆陣痛は、不規則に起こる生理痛のような痛みが特徴で、数時間から数日間続くことがあります。
痛みの間隔が徐々に短くなり、規則的になって10分以内の間隔になった場合、それは本格的な陣痛の始まりです。
本陣痛では、痛みの間隔がさらに短くなり(例:10分→5分→2分)、痛みの強さも前駆陣痛とは比較にならないほど増します。
前駆陣痛からいつ産まれる?
前駆陣痛が始まってから出産に至るまでの時間には大きな個人差がありますが、目安は以下の通りです。
【前駆陣痛から出産までの時間】
初産婦 | 経産婦 | |
---|---|---|
前駆陣痛から本陣痛までの時間 | 数時間から数日長くなる傾向 | 数時間から数日進行が速い傾向 |
本陣痛から出産までの時間 | 10~12時間程度 | 5~8時間程度 |
経産婦の方は、初産婦に比べて前駆陣痛から本陣痛への移行が比較的短く、本陣痛が始まってから出産に至るまでの時間も速い傾向にあります。
ただし、あくまで目安であり、個人差が大きいため、状況に応じて医療機関の指示に従うことが大切です。
前駆陣痛がきたときの過ごし方のポイント

前駆陣痛は前述のように、場合によっては数日間も続く長丁場になります。
「いよいよ出産!」と気合が入る一方で、緊張や不安を感じる方も多いでしょう。
しかし、ずっと気を張り詰めていては体力が持ちません。
できるだけリラックスして、体力を温存することが大切です。
破水していなければ入浴も可能ですので、体を温めながらリラックスする時間を作りましょう。
【前駆陣痛がきたときの過ごし方のポイント】
- 入院準備の最終確認
- 食事を摂る
- 軽く体を動かす
- 痛みの間隔を測る
入院準備の最終確認
前駆陣痛が始まったら、入院に必要な荷物の最終確認を行いましょう。
入院用の荷物を事前にまとめておくことで、いざというときに慌てずに済みます。
また、病院への移動手段や入院の流れを確認しておくことも重要です。
食事を摂る
陣痛は体にとって大きな負担となるため、エネルギーが必要です。
空腹でエネルギー不足になると体力が消耗し、本陣痛や分娩が長引いた場合に影響します。
前駆陣痛の痛みと痛みの間に、おにぎりやゼリー飲料、果物などの消化の良いものを食べておきましょう。
軽く体を動かす
前駆陣痛の間は、適度に体を動かすことでお産が進みやすくなります。
無理のない範囲で家事や散歩、軽いストレッチを行うと血流が良くなり、痛みが和らぐ場合もあります。
ただし、痛みが強い場合や体調がすぐれないときは、しっかり休みましょう。
痛みの間隔を測る
痛みの間隔を測ることで、本陣痛への移行を見分ける助けになります。
前駆陣痛は不規則で間隔がバラバラですが、本陣痛では間隔が徐々に短くなり、規則的になります。
スマートフォンの陣痛計測アプリを活用すると便利です。
痛みの間隔が10分以内になったら、速やかに医療機関に連絡しましょう。
病院へはいつ行けばいい?

前駆陣痛からいつ陣痛に移行するかわからず、不安に感じる方もいるでしょう。
「とりあえず病院へ早く行きたい」と思うかもしれませんが、前駆陣痛の段階で病院に行っても特に対応が必要なことはない場合がほとんどです。
本格的な陣痛が始まるまでは、リラックスして自宅で待機することをおすすめします。
初産婦の場合、規則的な痛みが10分以内の間隔で1時間以上続く場合は、病院へ連絡して指示を仰いでください。
経産婦の場合は、進行が速いため15分間隔でも連絡することが推奨されます。
ただし、陣痛が起こる前に破水してしまう「前期破水」があった場合は、子宮内感染の危険性がありますので急いで病院へ連絡してください。
まとめ

前駆陣痛は、不規則で軽い痛みが特徴で、しばらくすると自然と落ち着きます。
一方、陣痛は規則的で徐々に強くなり、分娩に直接つながります。
本格的な陣痛が始まるまでの時間には個人差があり、数時間から数日かかる場合もあります。
前駆陣痛が始まっても慌てず、入院準備の最終確認をしたらリラックスして普段通り過ごしましょう。
元気いっぱいの赤ちゃんに会える日が楽しみですね!
よくある質問
前駆陣痛に関するよくある質問をまとめました。
前駆陣痛は夜だけ現れる?
前駆陣痛は夜間に感じることが多い傾向にあります。
これは、夜になるとリラックスした状態になり、副交感神経が優位になることで子宮の収縮が促進されるからです。
そのため多くの妊婦さんが、夜中にお腹の張りや痛みを感じることがあります。
前駆陣痛は不規則で、持続時間も短いことが特徴です。
夜間に痛みが強くなり、朝になると消失することもよくあります。
前駆陣痛の間は動いた方がいいのか
体調や痛みの状況に応じて判断するのが良いですが、軽い運動やストレッチをすることで、お産が進みやすくなります。
また、リラックス効果や痛みの軽減も期待できます。
無理をせず、自分のペースで動くようにしましょう。
前駆陣痛中の食事や水分摂取について
前駆陣痛中の食事や水分摂取は、体力を維持し、出産に備えるために非常に重要です。
痛みの合間に手軽に食べられるものとして、おにぎり、ゼリー飲料、栄養補助食品を用意しておくと便利です。
また、水分補給も忘れず、常温の水や麦茶などをこまめに摂取しましょう。